TORQUE G06で衛星通信au Starlink Direct が使える!?

 衛星通信によるインターネットなどというのは、ぼんやりとした憧れはあったが実現はまだ先の話で、老い先も見えてきた自分には一生縁がないかもしれないと思っていた。ところが現在サブスマホとして愛用している「京セラ製バッテリー交換可能タフネススマホTORQUE G06 KYG03」でそれが使えることになろうとは!

[推敲度 6/10]

 本ブログ記事は2025年4月10日に始まったau KDDIの衛星通信サービス
au Starlink Direct
に関する簡単な紹介と自分の雑感である。なお、自分のTORQUE G06 KYG03でもau Starlink Directを利用できるようにセッティングしたが、まだ使う機会がないので本ブログ記事は使用レビューではない。

【目次】
1■au Starlink Direct のサービス開始
2■au Starlink Direct 導入の注意点
3■au Starlink Direct に関する情報
4■日頃から災害時に備えてワンセグ、GPS、オフライン地図
5■衛星通信というのは特別な機器が必要だと思っていた
6■防災には万全ではない
7■終わりに

1■au Starlink Direct のサービス開始

 2025/4/10、携帯電話(スマートフォン)サービスに関する、とあるニュースが流れた。

au、日本全土をエリア化、衛星とスマホの直接通信サービス「au Starlink Direct」を提供開始 | KDDI News Room
https://newsroom.kddi.com/news/detail/kddi_nr-533_3815.html

スマホと衛星の直接通信「au Starlink Direct」が4月10日開始?iPhoneも対応、当面無料 – UchuBiz
https://uchubiz.com/article/new60191/

 これらによると、あくまで緊急時を想定したサービス内容とは言え、au KDDI電波を利用できない場合に衛星通信を利用したテキストメッセージサービスが使用出来るという。利用可能な機種はスマートフォン50機種ほどで、自分の所有するTORQUE G06 KYG03も入っていた!

 繰り返すが、サービス内容はあくまで緊急用のテキストメッセージサービスだ。(すなわち一般のインターネットサービス、Web閲覧などが出来るわけではない。)

■au Starlink Direct概要

1. 利用可能サービス
・テキストメッセージ送受信(SMS/RCS/iMessage)
・現在地の位置情報共有
・Android スマートフォンでGeminiによる調べものなど
・緊急地震速報/津波警報/国民保護情報(Jアラート)受信

 この内容を見ると分かるが、日常的に使うような内容ではない。しかし災害が多く、いつどこで大規模地震やそれに伴う停電などが起こるか分からない日本。非常時に携帯電話が使えなくなることは危惧されていることを考えると、携帯電話電波が使えない際に衛星通信で上のようなサービスが使えるようになることは心強い。

 そしてこのサービスはすでにau機種の50機種で対応しているのも驚きだ。何より自分の愛用する(ただしサブスマホ)
京セラバッテリー交換可能タフネススマホTORQUE G06 KYG03
(リンク先は自分のTORQUE G06 KYG03関連記事)
でも使えるというのだ。

ITMediaの記事の写真より本ブログ著者が改変。紹介された50機種の一番最後にTORQUE G06 KYG03がしっかり入っている。ひゃっほう~

2■au Starlink Direct 導入の注意点

 本節ではau Starlink Directのサービスに関する注意点とそれに関する自分の雑談を述べる。

1・前節でも強調したが、サービス内容はテキストメッセージで、一般のインターネットサービスではない。(ニュースなどによると将来的に拡大される予定はあるらしい。)

2・サービス対象は現時点でauユーザーに限られ、サブブランドのUQモバイル、povo1.0、povo2.0、au電波を提供するMVNOなどは含まれない。

3・使用可能な機種はau KDDIの全機種ではなく、50機種程度だが、その中に京セラTORQUE G06 KYG03が含まれている。TORQUEではその機種が唯一である。

4・導入にはOSアップデート、システムアップデートなどが必要である。

5・料金は当面無料。申込みは不要。

 2に関してだが、以前のブログ記事
TORQUE G06 購入の為UQモバイルからau KDDIにMNP検討」(2023/10/8)まったりハマる生活
で書いた通り、自分は2023年10月までUQ mobileユーザで、TORQUE G06 KYG03購入の際にauに乗り換えた。その際の割引が1年後の2024年10月に切れたので、UQモバイルに戻ることを検討していたが、例のごとくずるずると引き伸ばしていたところだった。だがこのサービスは現段階ではauユーザに限るということで、当面UQモバイルへの移行は見送ることにした。

 また4に関してだが、自分はTORQUE G06 KYG03については自分が必須のアプリに影響が出ることを危惧し、最近はOSアップデートなどをしていなかった(セキュリティ上、問題があるのは認識しているが)。だが今回の件で、半日にほどかかってシステムアップデート、OSアップデートを行い、最新のOS、Android 15にした。案の定、自分の重宝するアプリの一部(現段階では「無音スクリーンショット」)に不具合が出たが、まあやむを得ない。

TORQUE G06 KYG03は現在では稀なバッテリー交換可能スマートフォンである。au Starlink Directの機能は非常事態の想定であることを考えると、バッテリー交換機種でその機能が使えることは親和性が高いと思う。

3■au Starlink Direct に関する情報

 本ブログ記事はau Starlink Directについて詳細に述べてはいないので、詳しくは先のリンク先を参照されたい。

au Starlink Direct | サービス・機能 | au
https://www.au.com/mobile/service/starlink-direct

 au KDDIによるau Starlink Direct のサイト。利用方法、対応機種一覧などが紹介してある。

衛星通信サービス「au Starlink Direct」の戦略を解説 なぜau限定? 有料化の可能性は?:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ) – ITmedia Mobile
https://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/2504/12/news070.html

 今回のサービスが導入された経緯や今後のサービス展開への予想などが書かれている。

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 このサービスはau KDDI電波が整備されていない地域や災害時での使用を想定していると思われる。それについて以下、思うところを述べたい。

4■日頃から災害時に備えてワンセグ、GPS、オフライン地図

4.1●携帯電波の脆弱性

 自分は携帯電話が世の中になかった頃からの人間、携帯電話やPHSの普及とともに人生を歩んできた人間なので、携帯電話(およびPHS)では電波が必要であること、その電波は各所に設置されたアンテナによって維持されていることをよくよく認識している。今では当たり前のように使っている、地下街や地下鉄内での携帯電話利用は当たり前なことでは全くなく、地下にまで緻密に配置されたアンテナ設備によって支えられており、設備管理している人々の努力によるもので、逆に言えばそれらは停電や設備不具合などで簡単に失われる。(携帯電話サービスの初期は地下鉄駅間で携帯電話電波が入っておらず、自分の通勤経路が電波エリアに入るのを心待ちにしたものだ。)

 自分は未だにクラウドなるものを全面的に信頼できないが、それもそのような携帯電電波の脆弱性に起因する部分がある。

 とりわけ大規模な災害ともなれば、携帯電波に期待することは出来なくなる。

4.2●情報収集ならテレビ、ワンセグ

 携帯電話、スマートフォンでの役割の一つは情報収集だ。非常時に携帯電話を利用したインターネットが使えない場合、情報収集の代替手段としてラジオ、テレビなどが考えられる。それらが災害時に有利なのは、分散配置された携帯電話アンテナと異なり、スカイツリーなど少ない箇所から強力な電波で発信しており、それら発信設備は携帯アンテナよりも頑強だと考えられるからだ。

 受信装置としては少し前までワンセグ搭載の携帯電話(フィーチャーフォン=ガラケー、スマートフォン)が多くあった。そこで自分はその一機種を家では未だに常時、置き時計として使用し、万が一の大災害時に備えてワンセグ機能を使えるようにしている(なおTORQUE G06 KYG03にはワンセグ機能は無い)。

2010年代には日本向けスマホでは多くの機種で装備されていたワンセグ機能。トルクシリーズでもTORQUE G02で搭載されたがG03以降では無くなった。この写真で表示されている「ワンセグ向けNHKデータ放送サービス」も2025/3に廃止となったが、ワンセグ放送自体は防災目的から継続すると信じたい。そしてそうであるなら、TORQUEではau Starlink Directと併せて「災害に強いTORQUE」を標榜するためにも次機種「TORQUE G07」にてワンセグを復活させてほしいものだ。(写真はGalaxy S5 SCL23、2014年発売)

4.3●非常時の地図ならGPS+オフライン地図

 自分の位置を認識するGPSも携帯電波によらずに自分の位置を把握できる。多くの人が知っているのかは分からないが、スマートフォンのGPSは携帯電波が利用できなくでも使えるし、「オフラインの地図を使っていれば」携帯が通じなくても、スマートフォンの地図をGPSの案内でナビゲーションとして使える。スマートフォンの引っ越しで、必ず忘れないようにするのが
携帯電波がなくても使えるオフライン地図の導入(スーパーマップル・デジタル)
だ。

飛行機内にてインターネットを使わずに窓からのGPS信号とオフライン地図(スーパーマップル・デジタル)を使って着陸時のGPS軌跡をリアルタイムに把握している。飛行機内での通信機器使用は各種の制限があるが、GPSは受信だけであるため、使用が許可されていることが多い。写真の使用機種は3世代前のTORQUE G03 KYV41(2021年撮影)

4.4●携帯電話(スマホ)のネットや電話も衛星で使えれば、、、、

 上記のように、テレビ塔(スカイツリー)を頼るテレビ(ワンセグ)、衛星を頼るGPSと異なり、戸外では携帯電波にしか頼れないインターネットは心許ないものだと思っていた。とりわけ、空が見えれば衛星と繋がる事が出来るGPSを使っていると、インターネットも衛星との通信で出来れば良いのに、と思ったことは少なくない。だがそんなことは当然簡単には出来ない、と思い込んでいたのだが、、、、

5■衛星通信というのは特別な機器が必要だと思っていた

 イーロン・マスク氏がスペースXにより通信衛星をやたらと打ち上げ、衛星通信の普及化をしているというニュースは読んでいて、日本でもそのサービスを使う人が出てきているのは知っていた。

・最強バックアップ回線? スターリンクを設置してみた:準備編 – Impress Watch

通信衛星を使うインターネット接続サービス「STARLINK」(スターリンク)のアンテナ代金やサービス料金が、2023年に入って大きく値下げされました(アンテナ値下げは期間限定とされています)。スターリンクは“もしもの時のバックアップ回線”として使えるのではないかと思っていたので、値下げを期に思い切って購入してみました。...

・スターリンクを設置した。速度は実用的も予想外の課題が…… – Impress Watch

通信衛星を使うインターネット接続サービス「STARLINK」(スターリンク)のアンテナ代金やサービス料金が、2023年に入って大きく値下げされました(アンテナ値下げは期間限定)。スターリンクは“もしもの時のバックアップ回線”として使えるのではないかと思っていたので、値下げを期に思い切って購入してみました。果たして本当に...

 興味深くは思ったが、自分は携帯電波が通じないような辺境の地に住む志向はないし、バックアップ回線のためにアンテナを買うほどまでの熱心さはない。そもそも今は集合住宅住まいで、衛星を把握できるところにアンテナが置けるかどうかですら、、、、

 海外では衛星通信が出来るスマートフォンが登場していることも読んだが、自分が将来そういう製品を買うことすら実感としては沸かなかった。

 ところが世の中では通常のスマートフォンの技術で衛星通信を利用する試みが進んでいたらしい。

・競争激化!アンテナ不要の「スマホと直接繋がる」衛星通信に取り組む企業 | SPACE CONNECT

楽天モバイルが提携するAST SpaceMobile社のDirect to device(D2D)サービスを担う「BlueBird衛星」の打ち上げが、2024年9月12日に実施予定。D2Dは、通常のスマートフォンが直接アクセスできる衛星通信システムです。今回は、Direct to deviceに取り組む企業である同社と...

その結実が今回のau Starlink Directのサービス開始だったというわけだ。

 衛星によるインターネット通信は少なくとも自分が利用できるようになるなどというのはまだまだ先だと思っていただけに、今回のサービス開始はかなり驚いた。しかも、新しい製品での対応を謳うのではなく、TORQUE G06 KYG03のようにすでに発売後、1年半にもなる機種でも対応するということには尚更驚き、また感嘆する思いがあった。改めて、イーロン・マスク恐るべし!という感じである。

 素晴らしいと思う一方で、スターリンクサービス実現のためには多くの衛星(2025年2月の時点で6500基以上)が打ち上げられていること、通信衛星の濫発が将来的に宇宙デブリを多発させる危惧を抱く声もあるようだ。

SpaceXが運用中のStarlink衛星100基を自主的に大気圏に突入させて処分することを発表 – GIGAZINE
https://gigazine.net/news/20240216-spacex-starlink-deorbit/

スターリンク衛星がデブリとの衝突を回避する回数、毎日140回 | ギズモード・ジャパン
https://www.gizmodo.jp/2023/07/starlink-debris.html

また、Starlinkという事業の将来性に疑問を投げかける声もある。

マスクの野望を支える「衛星インターネット」事業の未来が危うい | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
https://forbesjapan.com/articles/detail/78464

 前述のように、自分は防災対策の観点からこのサービスを評価するわけだが、数多の通信衛星が逆に「災害」の種になってしまわないことを願うばかりだ。

6■防災には万全ではない

 ここまでの論調で、au Starlink Directが防災の観点から注目できることを書いたわけだが、決してこれにより万全になるのではないことは注意する必要がある。

 au Starlink Directは最寄りの基地局アンテナを経由せずに衛星通信をするシステムなわけだが、衛星より先ではau KDDIの基幹設備を使うと思われる。大規模災害などで起こる不具合には
(1)基地局アンテナ
(2)au KDDI基幹設備
の2通りが考えられ、au Starlink Directは1は回避できるが2は回避できないと思われる。

 大規模災害ではなくても、今までauでは大規模障害が起こっているが、たとえば2022年7月上旬の通話通信障害などは基幹設備によるもので、仮に当時au Starlink Directがあったとしても、回避にはならなかった可能性がある。

 大規模災害が起こった際に携帯電話会社が基幹設備の損傷を避けられるかはなんとも言えないところであり、そのような点ではau Starlink Directがどの程度防災の観点から有用になるのかは未知数だと思う。

 自分は2009年以来、携帯電話(スマートフォン)2台持ちだ。

「なんで2台持っているの!?必要なの!?」
と驚かれるが、その理由の一つが
「重要性が高いにも拘らず、1台(1回線)では信頼できない」
という点があり、災害時などの通信障害に備える意識も一部あり、2台は必ずNTTドコモ、au KDDI、ソフトバンクの3種類電波のうちの異なる2つを契約するようにしてきた。もちろん、大規模災害時には2回線とも駄目になるかもしれないが、1回線に頼るよりはよっぽどマシだろう。

 たとえ携帯電話サービスが2回線とも衛星通信が可能になろうとも、契約を1回線にすることはないだろう。

2009年以来携帯2台持ちだが、今では2台ともタフネススマホになってしまった。別にタフネススマホが好きなわけではなく、軽い方が良いのだが性能(仕様)を追求した結果である。通常、画面が大きい方をメインスマホ、そうでない方をサブスマホと呼んでいる(写真は2023年当時、TORQUE G04 KYV43とOUKITEL WP21)

7■終わりに

 本記事では、au Starlink Directサービス開始において
京セラバッテリー交換可能タフネススマホTORQUE G06 KYG03
でも使えることについて書いた。このサービスの展開に注目したいと思う。