このたび、液晶7.2インチのファブレット(スマートフォン、中華タフネススマホ)
Oukitel WP60 5G(2025年10月発売)
を購入した。スマートフォンのディスプレイが「縦長ディスプレイ化」して以降、画面幅が大きいものが希な存在になったが、本機種はその中でも技適を取得した極めて希有な製品である。
[推敲度 3/10]

自分は本機種が中華タフネススマホの3台目であるが、本ブログ記事では第1節で本機種を含めて、その3台の仕様を一覧表にて比較する。そして第2節で、
「私がどれだけ画面の大きい機種を心待ちにしていたか」
を語るが、Oukitel WP60 5Gの情報としては皆様の参考になるかは分からない。これは自分は大きな画面を待望していたことを詳説するものであり、第3節ではそのような過去を持つ自分にとってOukitel WP60 5Gは画期的なスマートフォン(ファブレット)であること、その長所(技適とmicroSD)と欠点(CPU、SoC性能と解像度)を簡単に説明する。
本記事のうち、第1節と第3節はOukitel WP60 5Gの使用や特徴を知るのに役立つかもしれないが、実際の使用感を書いたレビューにはなっていない。レビューに相当するものは遠からず、その上記3機種の使用感を比較しながら書きたい。
【目次】
1■Oukitel WP60 5G含む中華タフネススマホ3機種の仕様比較
2■ファブレットの歴史とズルトラ難民と自分
2.1■「ファブレット」の登場と死語化
2.2■スマホの歴史の一大変革、縦横比の変化、縦長ディスプレイ化
2.3■Xperia Z Ultraの登場とズルトラ難民
2.4■自分は「似非」ズルトラ難民
2.5■7インチを越える機種は出ていないこともなかったが、、、、
2.6■中華タフネススマホでの期待
3■技適を備えた7.2インチOukitel WP60 5Gは画期的
3.1■本機種の画期的な点、技適取得とmicroSD
3.2■本機種の残念な点、CPU(SoC)性能と解像度
3.2.1■CPU(SoC)は中の下と言ったところ、性能が高いとは言い難い
3.2.2■解像度、ひいてはDPI
3.3■安かろう悪かろう?
4■終わりに
【本文】
1■Oukitel WP60 5G含む中華タフネススマホ3機種の仕様比較
今回、7.2インチファブレットOukitel WP60 5Gを購入したことで、2023年2月以来、自分は3機種連続で「中華タフネススマホ」を購入、使用することになった。特に今年は7月にCubot KingKong X Proを購入したのに、11月にOukitel WP60 5Gを購入することになった。
自分のスマートフォン使用歴は、2009年以来、約17年でメインスマホ・サブスマホ併せて、今回の機種で23機種である。メインスマホ15機種での平均使用日数はCubot KingKong X Proまで412日。しかし最近は2年近く使うことが多かった。今回のような、前機種の買い換えから半年以内の買い換えは、17年の間に今回以前に4回あり、2021年春以来4年半ぶりとなる。
すなわち言いたいのは半年以内に買い換えるというような行為は、過去の中で珍しいとは言わないが、しょっちゅうしているわけではない。
それにも関わらず、購入することになった、理由と苦悩がこの3機種を比較することで明確になると思ったからだ。


(私からの観点で)優れているところを赤背景、劣っているところを青背景、私が注目点と思っているものを黄背景とした。
| OUKITEL WP21 | Cubot KingKong X Pro | Oukitel WP60 5G |
| 自分スマホ20機種目 | 自分スマホ22機種目 | 今回購入機種 |
| 2022/11発売 (2023/02購入,約2年半使用) | 2024/11発売 (2025/08購入,4ヶ月使用) | 2025/10発売 (2025/11購入,使用中) |
| 技適認証有 | 技適認証有 | 技適認証有 |
| MediaTek Helio G99 | Dimensity 8200 | Dimensity 7050 |
| Antutuスコア 37万程度 | Antutuスコア 85万程度 | Antutuスコア 50万程度 |
| 6.78インチIPS 20.5:9 | 6.72インチIPS 縦横比20:9 | 7.2インチIPS 縦横比19.5:9 |
| 液晶横幅(計算値) 69.3 mm | 液晶横幅(計算値) 69.9 mm | 液晶横幅(計算値) 76.7 mm |
| 解像度1080 x 2460ピクセル DPI:396PPI | 解像度1080 x 2400ピクセル DPI:392PPI | 解像度720 x 1560ピクセル DPI:239PPI |
| セカンドディスプレイ有 | セカンドディスプレイ有 | セカンドディスプレイ無 |
| microSD対応 | microSD対応 | microSD対応 |
| 5G「非」対応 | 5G対応 | 5G対応 |
| 398g | 392g | 360g |
| 9800mAh | 10200mAh | 10000mAh |
| OUKITEL WP21 | Cubot KingKong X Pro | Oukitel WP60 5G |
| 高さ:177.3mm 横幅:84.3mm 厚さ:18.4mm | 高さ:175.9 mm 横幅:83.3 mm 厚さ:18.4 mm | 高さ:184 mm 横幅:87 mm 厚さ:14.9 mm |
| メインメモリ 12GB | メインメモリ 12GB or 24GB | メインメモリ 8GB or 12GB or 16GB |
| 内部ストレージ 256GB | 内部ストレージ 256GB | 内部ストレージ 256GB or 512B |
| 充電速度66W | 充電速度33W | 充電速度33W |
| 顔認証、指紋認証 | 顔認証、指紋認証 | 顔認証、指紋認証 |
| 通知LED:無 | 通知LED: 小さいがあり(青のみ?) | 通知LED:無 |
| デュアルスピーカー | モノラルスピーカー | モノラルスピーカー |
| カメラズーム10倍 | カメラズーム4倍 | カメラズーム10倍 |
| SIM,microSD取り出しが 指で可能 | SIM,microSD取り出しで ピン、掻き出し器具が必要 | SIM,microSD取り出しが 指で可能 |
| 自分の購入価格 49215円 (Amazon公式ストア) | 自分の購入価格 37944円 (AliExpress公式ストア) | 自分の購入価格 45043 (Oukitel直販サイト) |
上記で見ると分かるように、
Oukitel WP60 5G
は
(自分の)先代機Cubot KingKong X Pro
に各種性能で劣っており、
先先代OUKITEL WP21
にすら劣っている点が多い。
唯一、圧倒しているのが
画面の大きさ7.2インチ
である。この1点のためだけに私は買い替えたのだ。
(自分の購入品がメインメモリが512GBであることは購入してから気がついた)
2■ファブレットの歴史とズルトラ難民と自分
本節では私がいかに大画面(特に横幅大)の機種を望んできたかを「ファブレット」の歴史と共に述べる。
2.1■「ファブレット」の登場と死語化
今回タイトルで使った「ファブレット」という用語は現在、事実上死語であろう。
スマホの登場は2010年頃、その頃はディスプレイサイズ3インチ~4インチが主流だったが、それから暫くスマートフォンの画面がどんどん大きくなる傾向にあり、その時に「タブレット」に匹敵するかと思われるほどの大きい画面の製品(5~6インチ)を
フォン(電話)+タブレット
からの合成語として「ファブレット」と呼ぶことがあった。
だがその用語はやがて死語になる。なぜならスマートフォンの画面拡大が6インチ(画面比率16:9などの場合)もしくは7インチ(画面比率20:9などの場合)で止まり、8インチ以上のタブレットと境界がはっきりするとともに、5インチ台(画面比率16:9など場合)の大きなスマートフォンがむしろ標準になったからだ。ただしそこに至るにはスマホの画面に関するもう一つの重大な変化すなわち縦横比率の変化、所謂「縦長ディスプレイ化」があった。
2.2■スマホの歴史の一大変革、縦横比の変化、縦長ディスプレイ化
スマートフォンの当初(2007~2008)は3:2の正方形に近いものが一般的だったが、2010年以降、動画再生を意識して16:9の液晶サイズがスタンダードになる。それがさらに2017年頃から縦長の20:9などになっていく。

スマホの液晶サイズはテレビを踏襲して対角線のインチで表現する慣習があり、同じ画面インチでも縦長になると幅は狭く、縦は長くなる。
その結果、縦横比の移行の時期に最大クラスであったディスプレイ5.8インチの場合、縦横比16:9だと幅が70mm(本体幅としては80mm強程度)を越えていたのが、縦横比20:9だと60mm台(本体幅としては70mm程度)に収まるようになった。
自分は本体幅80mm以上の「馬鹿でかい」スマホが好きだった。20:9になったことでたとえ5.8インチでも自分としては「馬鹿でかい」という感じではなくなってしまった。それからスマホのサイズは拡大を続けるが、確かに6.9インチなどはそれなりに大きいものの、幅が十分に大きくないので「馬鹿でかい」という感じではなく、馬鹿でかいためには7インチ以上のスマートフォンが欲しくなったのだが、7インチはスマホが長らく(ほとんど)越えない一線になってしまったのである。
2.3■Xperia Z Ultraの登場とズルトラ難民
ファブレットを語る上で外せない機種がある。それがズルトラこと
Xperia Z Ultra(エクスペリア ゼット ウルトラ)
当時16:9液晶での6.44インチ
2013~2014年発売:日本向けはau版SOL24とWiFi版
である。


上記写真2つはSONYの公式サイトより
スマホの画面拡大競争?が続く中で、2013年前半にSamsungが6.3インチのSamsung Galaxy Megaを(海外で)出す。それに続くかのようにして2013年後半に出したのがXperia Z Ultraで、2013年中は海外でのみ発売だったが、翌年1月日本でも発売する。
海外ではディスプレイの大きな製品としてSamsung Galaxy Megaなどが出ていたのに対し、日本で6インチに匹敵するスマホは
・5.7インチだったGalaxy Note 3(SC-01F、SCL22)
・曲面の6インチだったLG G Flex(LGL23)この機種はauからズルトラと同日発表
くらいであり、6.4インチという巨大さは驚愕を持って迎えられ、そしてどちらかという「キワモノ」製品とされた。
それでも一部のユーザによりこの大きさは受け入れられ、そして魅了された人々がいた。ところが後継機種がXperia、、、どころか、他のメーカーからもこのサイズに匹敵するスマホは「ほとんど」出なかった。そのため、Xperia Z Ultraの大きさに馴染んで、後継機種あるいは同じような大画面の機種を探す人々が、満足する機種を見つけられない「ズルトラ難民」と呼ばれるようになり、また自称するようになった。
2.4■自分は「似非」ズルトラ難民
実は自分は「ズルトラ難民」ではない。すなわちズルトラことXperia Z Ultraは使っていなかった。上述した同世代のGalaxy Note 3(SCL23)を購入、1年足らず使った。この機種はディスプレイ5.7インチでファブレットの代表とされた機種である。しかし自分にとってその大きさでも「もう少し」物足りなくて、2014年以降、5.9インチ~6.0インチ(まだ16:9の時代)程度の機種を探し、買い替えていく。
ズルトラは6.44インチで、自分は当然その情報は知っていたし、店頭で触ったこともあったはずだ。しかし当時は「流石にデカすぎる」という感想だった。自分のTwitterを調べたところ、全く記憶はなかったが、まさしく当時の自分の考えを示す呟きをしていた。
結局自分はこの当時、5.9インチ(縦横比16:9)のスマホで満足し、ズルトラには手を出さなかった、それが自分とズルトラの当時の関係だ。
ところが、そうするうちに2017年頃から縦横比率の一大変化、「縦長ディスプレイ化」(縦横比16:9から18:9、20:9などへの変化)が到来してしまう。特に高性能なスマートフォン、フラグシップ、ハイエンドと呼ばれる機種では積極的に「縦長ディスプレイ」が採用された。自分にとって「デカいスマホ」とは「液晶の幅」「スマホの幅」であり、画面の大きさが最上位に大きいのはハイエンド機だったから、そんな自分にとって「縦長ディスプレイ化」は自分が満足する「幅の大きい」製品が無くなってしまう。
もはやその部分は妥協せざるをえなくなって、初めて「縦長ディスプレイ」妥協の背品を買ったのが2018年半ばであった。この頃、それまでやはり拘っていた「バッテリー交換可能」も諦めざるをえなくなっている。
「バッテリー交換可能」機種がなくなったことは、本ブログ記事で繰り返し訴えてきたが、横幅が大きい機種も自分にとっては悔しいことの一つであった。ただ「バッテリー交換可能」でなくなったことはバッテリーが尽きる不便さに直結したが、画面の大きさについては「もっと大きいのが良い」と思いつつも、明確な差、境界があるわけではない。ある種、妥協しやすい部分ではあった。
それでも常に画面が大きい製品への欲求はあり、折りを見ては大きい機種を探していた。そういう生活の中で
「今だったらズルトラの大きさのスマホが出たら、大きすぎるなんて言わずに速攻で買うのにな、(他の仕様、特にmicroSD使用可能とかが満足するものなら、15万円でも買うのにな」
(今まで自分はスマホ本体に10万円以上のものを買ったことがない)
と思うようになり、自分はズルトラを使ったことはなかったが、「事実上の」ズルトラ難民だと思うようになった。それが本記事のタイトルで、自分のことを「似非」ズルトラ難民と呼んだ理由だ。
2.5■7インチを越える機種は出ていないこともなかったが、、、、
「縦長ディスプレイ化」がスマホ界を席巻して以降、6.9インチが通常のスマホの最大クラスとなったが、その場合、ディスプレイの幅は70mmにいかない。16:9時台の6インチのディスプレイ幅が75mm程度になるのと比べるべくもなかった。ディスプレイ幅が70mmを超えるには、「縦長ディスプレイ」ではディスプレイサイズが7インチオーバーに達する必要がある。
例外的に7インチオーバーの機種が登場したことはあった。それが自分の把握できた限りは以下のような機種である。
| 発売日 | 機種名 | 液晶サイズ (液晶幅計算値・怪) | Antutuスコア (概算) |
| 2014年1月 | 比較参考提示: Xperia Z Ultra | 6.4インチ(79.7mm) 縦横比16:4 | 60,000 |
| 2018年10月 | Huawei Mate 20 X | 7.2インチ(79.0mm) | 380,000 |
| 2019年8月 | Oukitel K9 | 7.12インチ(78.3mm) | 83,000 |
| 2020年3月 | Black Shark 3 Pro | 7.1インチ(75.6mm) | 620,000 |
| 2020年7月 | Tecno Spark 5 Air | 7.0インチ(71.5mm) | 40,000 |
| 2021年10月 | Honor X20 Max | 7.2インチ(74.9mm) | 425,000 |
| 2022年4月 | Vivo X Note | 7.0インチ(75.3mm) | 1,050,000 |
| 2025年10月 | 比較参考提示: 今回の機種 Oukitel WP60 5G | 7.2インチ(76.5mm) | 485,000 |
これらの機種を私はそれぞれの時期で存在することを概ね把握していたが、、、、、
- 技適がなく、日本で使用するには不適合。
- microSDが使えないものが多くなっている。
- 当然「バッテリー交換が出来る機種」はなく、バッテリー容量も月並み。
- HuaweiなどGMS(Googleモバイルサービス)が使えない製品がある。
以上のような理由から、購入の決断がつかなかった。
たしかにスマホの画面が大きいこと、特に幅が大きいことは自分にとって望ましいことであったが、自分がスマホに求めるものはそれだけではなく、むしろそれよりも優先順位が高いことがあり、それが上の4つに挙げた内容であると言えよう。
2.6■中華タフネススマホでの期待
大きい画面を求める自分だが、7インチオーバーの製品はほとんど世の中に出ないこと、出ても他の仕様を満足しないことを残念に思い、妥協するにしても自分の欲しいと思うスマホがどんどん無くなっていくなかで出会ったのが、所謂「中華タフネススマホ」であった。
「中華タフネススマホ」はその名称、定義が定まっているわけではないが、「格安中華スマホ」などとも呼ばれ、海外では「中華ラギットフォン」などと呼ばれ、中国・深圳のメーカー群(Oukitel、Doogee、などなど)が製作している製品である。中華タフネススマホはCPU(SoC)性能こそ、メジャーなメーカーの製品に劣るものの、新商品のサイクルがとても早く、また6.8-6.9インチの大画面のものも多い。バッテリーが巨大ともいうべき製品を多く出しており、またmicroSDが使える製品も「まだ」多い。それが私が中華タフネススマホに注目するようになった理由で、Oukitelというメーカーの製品を知ったのは2020年頃、そして2023年に中華タフネススマホOUKITEL WP21を購入し愛用するようになった。
もっとも「中華タフネススマホ」を作るメーカーはOukitel意外にも結構いろいろあり、多様な製品を売り出していることを知ったのは今年2025年になってからで、そこで以下のブログ記事を作った。
「2025年版 中華タフネススマホ高性能を探す(Oukitel他)」(2025/6/12)
「格安中華タフネススマホとは?中国・深圳に蠢くメーカー達」(2025/7/18)
中華タフネススマホは実に多様でユニークな製品がある。しかしながら、それでも7インチ以上の製品はほとんど見当たらなかった。非常に多様性のある、ユニークな製品が多いにも関わらず、7インチオーバーの製品が無いことは実に不思議だったが、いずれそういう製品が出てくるのではないかと期待した。
とはいえ、それは中長期的な期待で、とりあえず自分は2年半使って不具合が出てきた
OUKITEL WP21
の代わりに
Cubot KingKong X Pro
を買ったのだった。
ところが「いずれは」と期待した7インチオーバーの製品が意外に早く登場した。Cubot KingKong X Proを購入して3ヶ月後の2025/10である。
3■技適を備えた7.2インチOukitel WP60 5Gは画期的
前節のような事実上のズルトラ難民だった私だったわけであるが、今年2025年の10月になって
7.2インチ Oukitel WP60 5G
が発売されたことを知った。
その約3ヶ月前に
Cubot KingKong X Pro
を買っても中華タフネススマホの最新動向はウォッチするようにしていたのだが、リリースされたのを自分では見つけられず、同じく2023年のブログ記事で同じく大きな画面を求めていることを吐露してくれた「ちゃぼ」さんという方が、やはりブログ訪問者コメントで教えてくれたのであった。
その機種7.2インチスマートフォン
Oukitel WP60 5G
はその時点で、日本語のサイトにも、日本語の呟き(X)でも情報は出ていなかった。だがすでに海外のスマホ紹介サイトには登録されていて、それを見て自分は近年、見られなかった使用の7インチオーバースマホであることを認識する。
3.1■本機種の画期的な点、技適取得とmicroSD


何よりも画期的だったのは、技適検索の結果から技適認証を受けている可能性が高かったことだ。前節で述べた縦長ディスプレイ化以降で登場した7インチ以上のスマホは基本的に海外のスマホな上、あまりにニッチ(マイナー)で日本向けの技適はほとんど取得されていなかった。
中華タフネススマホ一般の技適取得は多くなっているが、メーカーによって差がある。Oukitelは技適取得には積極的だ。
とはいえネット上の情報では確実とは言えず、自分も入手するまでは半信半疑といったところだったが、入手したところ上のように箱、本体のシール、そして画面上でも技適を確認できた。
次にmicroSD使用可であること。メジャーなメーカーではここ数年、microSD使用可であるものはむしろ少なくなっており、画面が大きいフラグシップ、ハイエンドではなおさらとなっている。もっとも、本機種は中華タフネススマホなこともあって、あるいはその中でもフラグシップともハイエンドとも言えないので、だからmicroSDがついていたとも推測される。
3.2■本機種の残念な点、CPU(SoC)性能と解像度
その一方で本機種は中華タフネススマホ、しかもむっちゃ安い。それには理由があり、一般のスマホに劣る点があるからだ。
3.2.1■CPU(SoC)は中の下と言ったところ、性能が高いとは言い難い
CPU(SoC)はMediaTek Dimensity 7050。
メジャーメーカーのスマートフォンのCPUといえば
Qualcomm Snapdragon
が有名、一般的だろうが、中華タフネススマホではそんな高級?なCPU(SoC)は使われていない。ともあれ、MediaTek製の中でDimensity 7050はどんなもんかというと、まず2025年に発売された中華タフネススマホでは一番数が多いのではないか、というほどやたら最近使われるCPU(SoC)である。そしてその性能はというと、ミドルレンジ、すなわち「中の下」くらいであり、「昨今のスマホとしては」おくびにも高性能とは言い難い。(Antutuスコア50-60万程度)
もっとも、スマートフォンに高い性能が必要かは、どのような用途でスマートフォンを使うかに依存する。スマホゲームなどではその時代その時代で処理能力を酷使しようとするため、「その時代の」高い性能が必要なことが多い。一方で単なるブラウザのネットサーフィン中心の場合には性能が下でもそれほど使い勝手に問題はないとされる。
自分の場合はスマホゲームは一つだけプレイしているが、その他にはSoCの性能が高そうな操作はあまりしていないように思う。自分が8月まで使っていたOUKITEL WP21は今となってはそれよりも随分性能が劣るMediaTek Helio G99(Antutuスコア35万)であったが、使用2年半過ぎ、確かにゲームやファイルのコピーなどで遅く感じることはあったが、それでもそれが理由で買い替えようと思うほどではなかった。情報収集はしていて、それを十分に上回る仕様、性能の機種が見込めなかったからでもある。結果的に買い替えたのはOUKITEL WP21端末に不具合が出たからである。
とはいえ、遅いよりは早いほうが良いこと、これから数年は使い続けることを考えると、買い替えるなら少しでも性能の良いものがいいということで、Dimensity 8200のCubot KingKong X Proを選んだ。
前述の通り、2025年の中華タフネススマホではDimensity 7050がスタンダードで、Dimensity 8200は「中華タフネススマホの中では」上位クラスとなる。ただしそれでも一般には「ミドルレンジ」の上の「ミドルハイ」には届かない。
このようにDimensity 7050というCPU(SoC)は上位のCPUとは言い難いので、特にスマホゲームなどをする人は注意が必要である。
スマホの性能については昔からAntutuスコアというのが使われていて、各時代でバージョンなどは違うが概ね比較に使うことができる。性能の高さを判断するにはご自身の現在と過去のスマホのAntutuスコアを調べ、Dimensity 7050(50-60万)と比べると大体の感じが分かるだろう。
3.2.2■解像度、ひいてはDPI
劣る点のもう一つが解像度だ。本機種Oukitel WP60 5Gの解像度は
720ピクセル x 1560ピクセル
DPI:239PPI
正直、仕様でこの解像度を見たときには驚いた。近年、自分が購入候補に挙げるような機種で、解像度の一辺が1000を下回る仕様など見た記憶がなかったからだ。
画面の精緻さを表すのがDPI(Dots Per Inch、ドット・パー・インチ)、1cmあたりのドット数を示す解像度の指標だが、一般常識で言えば、画面が大きくする場合には解像度を増やすことで精緻さが維持される。それが逆に解像度が低く、そのためにDPIも低くなっている。
解像度、DPIについてもかつてスマートフォンではどんどん良くなった時代があった。しかし一定以上になると、人間の目は良くなったことを実感できなくなるとされ、2015年頃に500PPIで頭打ちになったようだ。
本機種では239PPIということだが、近年のスマホは400-500PPIが一般的でミドルエンドでも300PPI以上あるのが普通だ。確かに昨今のスマホの中では大きく劣るものの、一般的にはそれほど劣ることを認識させるレベルではないようだ。
本機種は通常ならば画面が大きくなると、性能を上げ、値段も上がるところを、解像度を下げることで、CPU(SoC)性能を上げずに済ませ、また価格も抑えたと考えられる。
3.3■安かろう悪かろう?
自分は物やサービスを買うに当たり
「タダほど高いものはない」
「安かろう悪かろう」
を基本的な考えとしている。そしてそれに大きく逸脱する物は「偽物」「詐欺商品」の可能性が高いと考えている。
中華タフネススマホは確かに安いが、しかしそれにはそれなりの理由があり、本機種のOukitel WP60 5Gもまたそうで、7.2インチという画期的な液晶サイズにもかかわらず安いのは、解像度とDPI(PPI)を昨今のスマホでは見られないほど低くし、それによってCPU(SoC)も高くないものにしているからだ。詐欺的な意味で、怪しいわけではない。
4■終わりに
本記事では2025年10月に発売され、自分も購入した
Oukitel WP60 5G
について、同じく中華タフネススマホで自分が使用していたOUKITEL WP21、Cubot KingKong X Proと並べて比較する表を提示した。
続いてOukitel WP60 5Gを購入した理由を知ってもらうため、アスペクト比が16:9が一般的だった頃から幅の広いスマホを自分が好んでおり、事実上のズルトラ難民だったこと、その後も縦長ディスプレイ化が進んでからは7インチオーバーの機種をウォッチしていたが、各種仕様も含めて購入するに足る機種は登場しなかったことを、くどくどくどくどと述べた。