ハンディGPS、GPSロガー、GPSレシーバー(GPSセンサー)の違い

 ここ最近、パソコンで使うGPSについてブログ記事を書いているけれども、改めてGPSロガー(GPSデータロガー、GPS data logger)とGPSレシーバー(GPS Receiver)の違いについて、私の理解するところを書いておきたい。

[推敲度 5/10]

 このことに関してわざわざ一記事にしようと思った理由であるが、現在「GPS ロガー レシーバー」でGoogle検索すると筆頭に

・GPSレシーバーとGPSロガーの違いは何ですか?
ttp://oshiete1.goo.ne.jp/qa3550393.html

という「教えてgoo」のページが出てくるのだけれども、この回答内容があまり適確でないし、イマイチ分かりにくい。最初の回答など「(メーカの)呼び方の違いだけ」という「アホか」と言いたくなる内容だ。

 最近あちこちで質問回答サイトが増えており、適切な回答内容でなくても検索結果でしばしば上位に挙がることがあるが、その信頼性に関しては十二分に注意する必要がある。質問回答サイトの内容は所詮はその場で質問を見た人が「通りすがり的に」書いていった内容に過ぎず、批判や校正を十分に受けていないからだ。
 閑話休題。

 よって改めてブログ記事の一つとして書くことにした。

[ハンディGPSとの違い~私の所ではパソコンでの使用が前提]

 まずGPS機器といっても様々な製品があるわけだが「それだけで事足りる」製品として一般に「ハンディGPS」もしくは「ポータブルGPS」と呼ばれる製品群がある。

 これはGPSの受信機能と表示機能が一体化したものだ。場合によっては後述のGPSロガーを含めようとする場合もあるようだが、「ハンディGPS」と呼ばれる場合には大概表示機能もあり、特に地図まで搭載されている製品のことを指すことが多いと思う。

 特に野外使用のGPSユニットとしてはGarmin社(ガーミン社)のものが有名らしいが、街中で使うことを想定した製品はいろいろなメーカーから出ているようだ。
(私の親しい友人が10年近く前に十数万かウン十万かかけてハンディGPSを買ったが、地図といっても白黒の貧相な液晶で何が何だかよく分からなかったものだが、その頃に比べると隔世の感があるくらい進歩しているようだ。)

 パソコンにそれほど縁のない人がGPSを楽しもうとするとこの手の製品を買うのが無難となる。
 ただ以下のような欠点がある。

  • 一般的に値段が高い。すなわちそれなりに良い製品は十何万とかする。
  • この手の製品は発展途上で「GPS受信チップ」「電子地図」「液晶表示」などがかなり頻繁に進歩するがそれらが一体化しているため買い換えに伴う費用が甚大
  • 「地図表示を見やすくすること=画面が大きいこと」と「持ち運びしやすい=コンパクト」は半ば必然のジレンマとなっている。
  • 製品として一体化しているので柔軟性が少なく、たとえば多様な地図などに対応できないのが一般的。

 さてそこで登場となるのが...

[GPSレシーバーやロガーはパソコンやPDAとの併用が前提]

 パソコンやGPS、スマートフォンなどなどのモバイル電子機器との併用を前提としたGPSユニットが、この記事で述べるところの「GPSデータロガー(GPS Data Logger)」や「GPSレシーバ(GPS Receiver)」である。

 GPSレシーバやGPSロガーの共通の特徴としては以下のようなものがある。

  • すでに利用している電子機器(パソコン、PDA、スマートフォン)にGPSの機能を追加することが出来る。
  • 受信センサーや記録保持機能に特化しているため極めてコンパクトに出来る。
  • GPSレシーバやGPSロガー自体は消費電力を低くできるため、バッテリーの持ちがよい
  • 値段が安い(1万円以内から高くて数万円)。

 ただし上の長所を裏返せばそれ単体では持っていてもあまり意味がないということだ。

[ではレシーバとロガーの違いは?]

 ようやく本題であるが、レシーバとは受信機の意味であり、特に「GPSレシーバー(GPSセンサー)」と言った場合にはGPS受信センサーの機能のみがついていて、そこに繋げたパソコンやPDAにリアルタイム位置情報を送ることが出来る製品を指すことが多いようだ。
 その一方で「GPSロガー」と言った場合にはGPS受信センサーに加えて内部メモリに位置記録データを保持する機能が付いている。

 この違いはとても大きい。

 すなわち「GPSレシーバ」はそれ自体単体で持ち歩くことには全く意味が無い。GPSレシーバは一緒にパソコンやPDAを持ち歩いて、それと繋げた時のみ機能を発揮するのである。
 さらには位置情報のデータの記録もパソコンやPDAに残されるもののみなので、それらに繋いでそれらにデータを残さないと経路のデータは消えてしまう。

 その一方で「GPSロガー」には記録機能が入っているのでそれ単体で持っているだけでスイッチをつければその位置記録が残されていく。このロガーデータを使うには後でパソコンやPDAと接続し、このデータを取り出してやる必要があるが、それは帰宅後にゆっくりでも良いので、この「GPSロガー」はパソコンやPDAを持ち歩く必要がない。しかも前述のようにロガー自体はコンパクトでバッテリーの持ちも比較的良いので、持っていること自体を意識する必要がないので、非常に便利だ。

 ちなみに「GPSロガー」の機能がついているからといって「GPSレシーバ」の機能がついているとは限らない。すなわちパソコンやPDAに繋いでリアルタイムにその位置情報を使えるとは限らず、内部メモリに位置情報を記録することに特化している製品もあるので注意して欲しい。

 以上をまとめると「GPSレシーバ」の機能のみで「GPSロガー」の機能がないと、パソコンで繋いでいる時(しかもソフトを動かしている時)でないと軌跡が残せない。
 逆に「GPSデータロガー」の機能だけで「GPSレシーバ」の機能がないと後で自分の通ったルートは確認できても、リアルタイムに自分の位置を把握することが出来ない。

[レシーバ・ロガー機能についての3分類と想定利用者]

 2008年現在、世の中には「GPSレシーバ機能のみの製品」「GPSロガー機能のみの製品」「レシーバとロガー両方兼用の製品」の3つがある。前述した内容で概ね分かっていただけると思うのだけれども、ここでは改めてそれぞれの製品はどんな人に適しているか、を書いておくことにする。

GPSレシーバ機能のみの製品・・・普段、パソコンやPDA、スマートフォンなどを持ち歩いているが、それらの製品を通じて自分が「今」どこにいるか「のみ」知りたい人。「のみ」というのはすなわち1日の間どんな経路を通ってきたかは知らなくても良い、ということ。

GPSロガー機能のみの製品・・・自分が「今」どこにいるかなんて知る必要はないが1日通ってきた経路を知りたい人向け。
 あるいはそれ以前に、パソコンやPDA、スマートフォンなどを普段持ち歩かない、あるいは持ち歩くとしても戸外ではそれらの電源を入れることがまずない、という人向けでもある。
 さらには持ち運ぶパソコンやPDA、スマートフォンにはGPS(レシーバ)機能がついているものの、それらの電源が入っていないときにも経路記録を採りたいという人向け。

レシーバとロガー両方兼用の製品・・・普段持ち歩くモバイルパソコンやPDA、スマートフォンを使ってリアルタイムに自分の居場所を知りたい、それに加えてそれらの電源を切っているときも後で自分の通った経路を知りたい、という人向け。


ソニーの製品には2008年現在、
GPSレシーバとGPSデータロガーの両方を兼ね備える製品は出ておらず、
GPSレシーバ機能のみの「VGP-BGU1」とGPSロガー機能のみの「GPS-CS1K」
が出ている。しかし両者ともコンパクトとは言えず、
新製品もなかなか出ないようで、個人的には勧められない。
世界中のメーカから多様な製品が出ているのでそれをお勧めする。

[モバイルパソコン利用者は圧倒的にレシーバ機能兼ロガー機能のある製品をお勧め!]

 GPSについてブログを書き始めたのが

BluetoothでUSBな「GPSロガー兼GPSレシーバ」
https://blog.stakasaki.net/article/200807article_1.html

という記事だったことでもお分かりのように、個人的にはGPSレシーバ機能とロガー機能を兼ね備えたGPSユニット製品をお勧めしたい。

 GPSレシーバのみの製品についてであるが、現在ノートパソコンやPDAもしくはスマートフォンはバッテリの稼働時間に制限があるため、外出している間、電源を入れっぱなしにして衛星を補足し続けるというのなかなか困難である。
 その結果、それらの電源が入っていない時もしくはそれらとレシーバとの接続が切れた場合にはその間の位置情報は失われてしまう。それを考えるとやはりロガー機能がついている方が安心だ。

 それに山登りなどの場合には少しでも荷物を減らすべくモバイルパソコンを持って行くことを控える場合もあるに違いなく、その場合にはコンパクトなGPSロガーだけを持てば良いことになる。

 GPSロガーのみの製品についてであるが、これはパソコンやPDAを基本的に持ち歩かない人、もしくは持ち歩いているそれらの電子機器製品にはすでにGPS機能がついている、という人には検討の余地がある製品であろう。

 まあそんなこんなである。

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コメント

  1. 3万4650円で買えるカラー液晶搭載ガーミン製GPS端末

    いいよねっとは、米ガーミン社製のアウトドア用ハンディGPS端末「eTrex VentureHC」を9月11日に発売する。価格は3万4650円。 「eTrex VentureHC」は、カラー液晶を搭載したハンディGPS端末。176×220ドット、256色の反射型液晶ディスプレイを装備する。価格を抑えたエントリー向けモデルだが、GPSチップは上位モデルに採用されているものと同等の高感度タイプを内蔵する。パソコンとの連携も可能で、IPX7相当の防水性能を搭載す…

  2. A より:

    非常に分かりやすかったです。
    今後の参考にさせていただきます。
    ありがとうございました。

  3. サウザンアイランド より:

    先日より、参考にさせていただいている者です。
    私もBluetoothでUSBな「GPSロガー兼GPSレシーバ」ということで、現在Leadtek LR9553D(SiRF III)とQstarz BT-Q1300 nano(MTK)とHolux M-241(価格的に)で迷ってます。
    SiRF IIIとかMTKとかって内蔵のセンサー?がいくつかあるようですが、先生のオススメはどのセンサーのモノなのでしょうか。
    ちなみに、この手の装置は初めてです。
    Pocket PCのMio 168RSがそろそろ死にそうなので、最近流行のネットブックとやらとあわせて購入しようと目論んでおります。
    よろしくお願いします。