2024年7月、それまで所有のコンデジ(コンパクトデジタルカメラ)が壊れ、買い替えようと思ったが、デジカメ市場は衰亡しており、買いたい仕様(高望遠スリムコンデジ)の新製品はすでに売られていなかった。コンデジ衰亡に関するブログ記事も書いたが、約半年後の2025年2月にPanasonicより 高倍率スリムコンデジLUMIX DC-TZ99が発売されたことを知り、ほぼ迷うことなく購入した。本記事では、スマホのカメラ「だけ」では最終的に満足できなかった理由を、望遠機能を中心に書くことにする。
なお、本記事は今回買ったPanasonic高倍率スリムコンデジLUMIX DC-TZ99のレビュー記事にはなっておらず、そのレビューは後日書くつもりである。
[推敲度 4/10]

1■自分は近年のデジカメで光学ズーム高望遠、高倍率を重視
自分は2024年7月まで歴代4機種のデジカメ(コンデジ)を使っていたが、次第に高倍率のデジカメを買うようになっていた(3代目は光学ズーム12倍、4代目は光学ズーム35倍)。スマートフォンでのカメラ撮影が一般的になりつつあった中で、明確にコンデジの性能が上回っていた機能の一つが光学ズーム倍率だからだ。
ところが、2024年7月にそれまでのデジカメ
NikonデジカメCOOLPIX A900
が壊れたが、発売から8年近く経っているためメーカー修理も出来ず、買い替えを検討したところ、すでにコンデジ(レンジ一体型カメラ)は衰亡し、自分の求める仕様の製品は出ていないことに気が付き、下記のブログ記事を書いた。
「さらばコンデジ、コンパクトデジタルカメラ~その衰退の一般状況」(2024/11/11)
そこで書いたように、新製品が出ない高倍率コンデジの購入を諦め、スマホカメラのみでの運用を探りつつあったが、それに不満も感じる中( 後述)7ヶ月後の2025年2月、PanasonicよりLUMIX DC-TZ99が発売されていた。スリムな筐体で光学ズーム30倍というのは私の求める仕様にほぼ合致する製品であった。デジカメが壊れて約8ヶ月、スマホのカメラで日常的には著しい不便を強いられていたわけではなかったが、上の発売に遅ればせながら気がついた3月中旬、ほとんど迷うことなく購入を決定した。

2■念の為、光学ズームとデジタルズームの違いを解説
それなりに知られていることだと思うが、デジカメ(スマホカメラを含む)の望遠には、「光学ズーム」と「デジタルズーム」があり、レンズの機構を利用した望遠が光学ズーム、液晶画面上で拡大しているだけなのがデジタルズームとされる。後者はズームせずに撮影し、後にパソコンで拡大処理をしているのと変わらないとされており、いわば「なんちゃって望遠」と言える。
スマートフォンでは大きなレンズを取り入れるのに現段階では限界があり、光学ズームを備えていても3倍程度、最大5倍程度しか持っていない。すなわち10倍などの望遠機能を持っているように見えても、デジタルズームか、精々光学3倍とデジタルを組み合わせたズームであり、撮影した時の画質の粗さが目立ち、真のズームには程遠い。それに対してデジカメの光学ズームは「ビヨーン」と伸びる光学レンズで30倍、40倍の光学ズームを実現し、くっきりしたズーム画質が得られる。
3■高望遠スリムコンデジの新製品が出ない中、中古などで古いデジカメを買うべきか
上述の通り、2024年7月に、それまでの高望遠スリムデジカメが壊れた自分は、スマホ(2台)のカメラで運用していくか、あるいはそれでもデジカメを買うか、の選択を迫られることになった。
もしスマホカメラではなく、デジカメにこだわろうとすると以下の選択肢が考えられた。
(1)筐体が大きくなるが、高倍率のコンデジを買う。
(デジカメWatch「新製品レビューパナソニック LUMIX FZ85D」より)
自分が求めるレベルよりさらに高倍率であればレンズ一体型の製品(コンデジ?)は出ている。しかし筐体(図体)が相当大きくなる。これはもうコンパクトデジカメと言えないのでは?
(2)筐体がなるべくスマートでしかし望遠レンズの高機能な一眼レフ、ミラーレスを買う。
(3)古い(5年ほど前)高倍率コンデジをプレミア価格新品で買う
(4)古い(5年ほど前)高倍率コンデジを中古で買う。
1や2はスリムなデジカメを諦めることになるが、そもそも私はカメラ撮影が趣味と言えるレベルではない。カメラ小僧ではなく、望遠の為だけにわざわざデカいカメラを持つ気にはならない。3や4は古い機種は壊れた時にメーカー修理が出来ない。4代目のデジカメもメーカー修理期限を過ぎていて、メーカーに修理を断られた。(デジカメは街の修理屋での修理が困難とネットで読んだがその後友人に聞いたところ、街の修理屋で直して貰ったことがあったらしいが。)
ましてや中古で買うことには様々なリスクが有る。
結局、どの選択肢も乗り気にならず、ずるずるとスマホでの撮影生活に甘んじていたというのがこの8ヶ月(2024/7-2025/2)の状況であった。
とはいえ、自分はスマホのカメラがデジカメ(コンデジ)に劣る点を単にそのまま受け入れていただけではなかった。
4■スマホでも望遠レンズ取り付けを試したが、、、、
上述の通り、スマホで自分が満足できない性能は、まず第一に望遠機能の不足、光学ズームの不足であった。それならばスマートフォンのカメラに望遠レンズ(単眼鏡)を取り付ける方法があるのである。
スマホで望遠レンズ(単眼鏡、望遠鏡)を取り付ける方法として、以下のような製品がある。
(1)取り付け器具と単眼鏡(望遠鏡)が別にあり、単眼鏡(望遠鏡)を器具によってスマホに取り付ける場合


(2)単眼鏡と取り付け器具(クリップなど)が一体になっている場合

1は取付製品は1500円~ほどでAmazonなどで売っている。一緒に取り付ける単眼鏡、望遠鏡は単体で使う汎用のものであるため、値段ランクは様々である。
2の製品は3000円~1万円くらいである。(秋葉原安売り店で1200円程度で買ったものは取り付け器具が明らかに不良品だった。)



上記のスマホへの単眼鏡(望遠鏡)取り付けの特徴は以下となる。
(一)スマホに望遠レンズを取り付けた場合、一般には撮影の画面が狭まり、上の写真(真ん中)のように円形になってしまう。
ただし、その状態でスマホ本来の望遠(一般にはデジタルズーム)を機能させると円形の中の一部を拡大するため、円形は消える(右の写真)。
(二)単眼鏡(望遠鏡)を取り付けて光学ズームとした状態に、スマホ本来のデジタルズームを組み合わせると、かなりの倍率となり、「倍率だけは」30倍ズームのコンデジに見劣りがしないほどになる。ただしデジタルズームを組み合わせているので、画像は荒くなる。
(三)取り付ける際には1と2、どちらの方式にせよ、単眼鏡の覗き窓がうまくスマホのレンズに重なるよう、試行錯誤が必要になり、いざ、望遠のシャッターチャンスが出来た時に、さっと望遠機能を利用する、ということは困難である。
高倍率コンデジでは、カメラを使うときにだけレンズが飛び出て、さらに望遠機能を使うときだけレンズが伸びる仕様になってり、数秒でそれらは切り替えられるが、スマホに単眼鏡(望遠鏡)を取り付ける光学ズームは、その使用不使用の切り替えがかなりの手間である。
(四)コンデジによる高倍率にせよ、スマホへの単眼鏡(望遠鏡)取り付けによる高倍率にせよ、倍率が20倍程度以上になると、目的の対象をフレーム(画面内)に収めるのがかなり難しくなり、また手ブレの影響が大きく発生する。
コンデジでもそれが起こるが、しかしコンデジは重量がカメラ本体に重心があり、レンズ先はそれより軽いのに対して、スマホへの単眼鏡(望遠鏡)取り付けでは、スマホよりも単眼鏡の方が重く、より手ブレが発生しやすように思われた。
また、最近のコンデジでは高倍率光学ズームを使う時に、一時的に倍率を落として対象をフレームに入れやすくする機能がついている。
自分は(1)も(2)も製品を試してみたが、前者は取り付けが相当面倒くさく、後者はまだマシだが、それでも性能と手軽さの点で、高倍率コンデジに比べると見劣りがした。
5■持ち易くするためスマホに取り付けるグリップも購入
それからデジカメの代わりにスマホを使うようになったところ、スマホを取出してさっと撮ろうとした時に、上下左右の方向を持ち間違えたり、あるいは電源スイッチと撮影ボタンが異なることでシャッターを押すまでに時間がかかったりすることがあると気がついた。また、スマホは片手で持って撮影しようとするとなかなか持ちにくい。
だがこれらについてはこれについてはスマホに取り付けるグリップを買ったりして、ある程度は解消した。通販などで2000円~程度で売っている。


6■その他にスマホ「のみ」でのカメラ使用が不便な理由
その他にカメラを「スマホのみ」で済ますそうとすると不便になる理由としては以下のような理由が考えられよう。
(1)カメラとして多用するとスマホのバッテリーの減りが著しく激しくなる。
(2)スマホによっては連続使用すると本体が過熱し、カメラ機能が使えなくなることがある。
(3)スマホはナビゲーションやコミュニケーションツールととして、それこそ手放せない場合があり、カメラと他の用途で同時に使うのがもどかしいことがある。
(4)フラッシュはデジカメの方が明るいことがある。
ただし1に関して自分はスマホ2台持ちで、しかも片方はバッテリー交換可能式を使っている。こうすることでバッテリーが急激に減ってしまう対策はある程度出来ていた。2と3についても2台持ちにより解消できる場合がある。
また、3については近年(2015年位からか)、暗い中でも明るく撮影できるスマホが増えており、フラッシュの意義は薄まりつつあるように思われる。
ところで、実は13年前の2012年の段階で、スマホのカメラとデジカメを比較するブログ記事を書いており、この中でスマホのカメラが便利な理由、一方でデジカメにも利点がある理由、をそれぞれ挙げている。
「デジカメ購入(2)スマートフォンのカメラの長所とそれでもデジカメが手放せない理由」
この中ではデジカメが光学ズームでは有利なことに言及していない。自分でも不思議に思ったが、この記事を書いたのは3代目のデジカメを買ったのが機会で直前に以下の記事を書いている。
「デジカメ購入(1)前のデジカメCOOLPIX L12とスマートフォンのカメラ達」
3代目と言えば、高望遠コンデジを買った初めてで、この機種の光学ズームは12倍であった。この機種で高望遠・高倍率の楽しさを知り、4代目2018年に光学ズーム35倍を買うことになった。すなわち2012年の段階では高倍率光学ズームへの拘りが自分にはなかったようだ。
7■高望遠コンデジの新製品は想像もしていなかったが、、、
以上のようにして、高望遠デジカメを諦めて、スマホに移行しようとそれなりに右往左往していた自分は、上述のようなデジカメに戻る選択、すなわちミラーレスや一眼レフに移行する気にもならず、古い高倍率コンデジを入手する気にもならず、結局、スマホでのカメラ使用に妥協していくしか無いと思っていた。
何度か紹介したように、デジカメ、特にコンデジの近年の衰亡を
「さらばコンデジ、コンパクトデジタルカメラ~その衰退の一般状況」(2024/11/11)
で書いたが、その中で記したように、その記事は「デジカメへのレクイエム(鎮魂歌)」のつもりで書いたような心情であった。
自分が拘る高望遠、高倍率の機能が毎日のように使いたいのではなく、お出かけや旅行などに限られることもあっただろう。
そんな状況のところで、今年2025年3月下旬になって、2月にPanasonicデジカメ LUMIX DC-TZ99が発売されていたことに気がついたのである。
改めて、価格コムのスペック検索で調べたところ、自分が求める製品(光学ズーム30倍~50倍)を検索してみたが、近年ほとんど出ていない。

この一覧を見て、他社が高倍率ズームを出さなくなった2020年以降も、PanasonicはLUMIXシリーズの発売を継続していたことが分かる。実はPanasonicは希望の星だったのだ。
ふと価格コムで口コミコメントを覗いてところ、久しぶりの高望遠コンデジに感激する人々のコメントが続々と続いていた。さもあらん!
「もし高倍率のコンデジ新製品が出たら自分はどうするか」という想像は、本記事で書いた右往左往の中でほとんどすることがなかった。だが、上の製品を見つけ、調べた時点で、もはや買う決心は急速に固まっていた。
その理由には、本記事で書いた右往左往の中で、やはり高倍率を撮ることを中心として、デジカメには強みがあり、スマホでは代用が十分でないと感じたこと、あまり出かけない自分ではあるが、今年は飛行機を使った遠出を4年ぶりに予定しており、デジカメの活躍を期待したいことがあっただろう。
また、こういうことがあると以下のような思いも働く。
デジカメ、コンデジ衰亡の中、もはや今回こそがデジカメを買うのが最後かもしれない。自分のデジカメの買い替え時期である6~8年後にはもはや完全に新製品は期待できない可能性が「極めて」高い。そう思うと、他社が高倍率コンデジ新製品を軒並み出さなくなった中で継続して出してくれているPanasonic(元・松下電器産業)には本当に感心・感謝するしかなく、これを買わずして高倍率ズームに拘る人間と言えようか?
8■終わりに
本記事では
Panasonic 高倍率スリムコンデジLUMIX DC-TZ99
を購入決心した理由を、スマホの高望遠性能関係を中心に述べた。
次回は上記製品のレビューを書こうと思うが、カメラに詳しいわけではないので、簡易的なレビューになると思われる。