GPSを使うようになってカシミール3Dというソフトを耳にするようになったのだが、山登りなどアウトドア向けに限られたソフトかと思い、すぐには飛びつかなかった。だが実際に使って見ると、必ずしもアウトドア向けとは限らない素晴らしいソフトであることに気が付く。
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[カシミール3Dとは地図ソフト]
「カシミール3D」とは地図ソフトの一つであり、すでに以前のブログ記事で私が触れたことのあるゼンリン電子地図帳ZiシリーズやSuperMappleDigital、あるいはGoogleMapやGoogleEarthなどと同じジャンルに属するソフトだ。
カシミール3Dは山登り(登山)やサイクリングなどアウトドアでGPSを使う場合に紹介されることが多いようで、私もGPSを使い始めて後、初めて山登りをしようとした際に導入した。
[私も山登りをきっかけに導入したのだが...]
私の趣味は基本的にインドアのものが多い。というか、そもそも運動は苦手なのでインドアといってもスポーツではなく、単に屋内的な趣味ということなのだが、いろいろいろいろあって趣味を広げようとしたとき、親しい友人達が始めた登山(というか山登り?)に参加するようになった。
友人は百名山制覇を目指しているのだけれども私もそれに便乗することにしたのだ。ただし今のところ、その友人達とのみ登ることにしており、彼らとそのような時間がなかなかとれない状況の中で頻度は1~2年に一回くらいしかない。
今回2年ぶりに山登りをしようと思ったのであるが、その際に登山の店で見つけたのが左の本「カシミール3D GPSで山登り 関東甲信越の山 300コース」。
今回どの山を登ろうか、ということを考えていたときに関東甲信越の山登りルート300を紹介しているということで目をつけた。
カシミール3Dはフリーソフトだと聞いていたのだが、この本を見つけた時
「フリーソフトって無料だけどその代わりにユーザがいろいろ調べなくちゃいけない場合も多いので、それはそれで面倒だ。この本にはそれらソフトが入ったDVD-ROMが付属しているとのことで、当然導入方法も丁寧に書いてあるに違いない。導入調査の手間も省け、かつ副題の通り具体的な山登りルートの参考にも出来て、一挙両得じゃあないか。地図ソフトということで地図データも分量が多そうでダウンロードで済まそう時間がかかるだろうし。」
と思ったのである。
購入して本書を読んで初めて、カシミール3Dというソフトは日本人が作っているフリーソフトであり、しかも私が買った上記の本の著者・杉本智彦氏こそカシミール3Dの製作者だと知った。
そして実際に使い始めてみると、カシミール3Dの素晴らしいこと!この手のハウツー本(?)はしばしば後々まで「買わなくても良かったかな」という思いに囚われることが少なくないのだが、今回のこの本についてはこの作者にもっと貢いで良いと思うくらい、上の本を買って良かったと思った。
[確かにフリーソフトではあるのだが...]
さて「カシミール3D」、確かにフリーソフトではあるのだけれども、私のように「パソコンを非インターネット環境でも快適に使うこと」を大事にしていると、すなわちオフラインで快適に使用しようとすると、購入した方が良い部分がある。
というのも....
このソフトはいろんな地図データを使えることも特徴の一つである。
他の地図ソフトすなわち例えばゼンリン電子地図帳やSuperMappleDigitalではそれぞれゼンリン社、昭文社が持っている地図データがソフトの大きな柱であり、それなしでは各ソフトは考えられない。
GoogleEarthとGoogleMap(写真版)では航空写真が主な地図データである。GoogleMap(地図版)で使われている地図は表示する国によって異なっており、たとえば日本ではゼンリン社の地図がベースになっており、それはGoogleMap表示の際にZENRINの著作権表示がされることでも分かる。
これらで分かるように一般の地図ソフトはどんな地図データを使っているかが地図ソフトの特徴を決めることが多いのであるが、カシミール3Dでは必ずしもそうとは言えず、というのもカシミール3Dではいろいろな地図画像を読めるからである。
カシミール3Dで利用できる地図データはオフィシャルサイトの下記で一覧になっている。
・カシミール3Dで使える地図一覧
・カシミール3Dオンラインマニュアル 地形・地図データ
「とりあえず試験的にカシミール3Dを使ってみたいので、なるべく費用をかけたくいない」という場合にはカシミール3Dの本体(これには実用に足る地図データは入っていない)やプラグインの無料ダウンロードを行い、地図としてはオンラインの「国土地理院地図閲覧サービス」のものを使えば良いと思われる。(無論ブロードバンド環境にあることが前提だが。)
しかしさっきも述べたけれども基本的には杉本智彦氏の書籍にCD-ROMやDVD-ROMの形で付属している地図データを導入して使うのが無難だ。それらは一度買えばオフラインでも(半永久的に)使用でき、しかも何冊か揃えるだけで日本全国一通りの地図が揃うからだ。
すなわちインターネットに繋がっているかいないか、もしくは購入した有料オンライン地図の使用期限が切れていないかどうか、そういうことを気にすることなく、カシミール3Dを使い続けることが出来るのだ。
[断固としてお勧めする杉本智彦氏の書籍3冊]
地図データがCD-ROMやDVD-ROMの形で添付されている、杉本智彦氏のカシミール3Dの基本書籍は2008年現在7冊ある。
注意しなければならないのは「カシミール3D 本体」というところの表である。すなわち転載すると
収録地図一覧 | カシミール3D 入門 |
カシミール3D GPS応用編 |
カシミール3Dパーフェクトマスター編 |
カシミール3D図解実例集1 | 山あるきを楽しむカシミール3D活用術 | 鉄道ルート | GPSで山登り |
20万地形図 | 全国 | 全国 | 全国 | 全国 | 全国 | 全国 | 全国 |
5万地形図 | 関東甲信越と周辺 | 名古屋から沖縄まで | 北海道・東北~福島南部 | なし | 作例の範囲のみ | 関東甲信越と周辺 | 関東甲信越と周辺 |
2万5千地形図 | なし | なし | なし | 関東甲信越と周辺 | なし | なし | 函館~福岡 |
50m標高 | 全国 | 全国 | 全国 | 全国 | 全国 | 全国 | 全国 |
媒体 | CD | CD | CD | DVD | CD | CD | DVD |
これを見ると分かるが、どの書籍にも縮尺「20万分の1地形図」(20万地形図)は全国分が入っているのだけれども、「5万分の1地形図」(5万地形図)と「2万5000分の1地形図」(2万5千地形図)については本によって入っている地域が異なる。
上の表を見てなるべく地図を効率的に集める方法を考えると、以下の3冊の書籍を揃えれば良いと思われる。
私が登山ショップで手にして買ったのは「カシミール3D GPSで山登り 関東甲信越の山 300コース」であったわけだが(偶然にも?)この本は7冊のうち是非とも購入すべき一冊となっており、すなわち5万地図画像として関東甲信越の部分が入っている上、他の書籍ではほぼ得られない2万5千地図画像が多く入っている。
この本「カシミール3D GPSで山登り」のDVD-ROMに含まれている2万5千分の1の地形図の主な都市は以下の通り。
函館、青森、秋田、盛岡、仙台、山形、福島、新潟、宇都宮、前橋、千葉、さいたま、東京、横浜、静岡、長野、富山、金沢、福井、岐阜、名古屋、津、大津、京都、奈良、和歌山、大阪、神戸、鳥取、松江、徳島、高松、広島、山口、松山、高知、福岡、以上。
一方で含まれていない地域は
四国南西部(宇和島、中村)、宇部市付近、福岡以外の九州全域、沖縄全域、函館以外の北海道全域、島嶼
とのこと。
さて全国をカバーする地図を揃えようとする場合、前述の通り20万分の1地形図は全ての書籍で入っているので良いとして、程よく縮尺の大きい地図となると5万分の1地形図ということになるわけであるが上でお勧めしている「カシミール3D GPSで山登り」には関東甲信越の5万地図が入っているので、残りの5万地図を揃えようとすると
- 「山と風景を楽しむ地図ナビゲータ カシミール3D GPS応用編」付属CD-ROMの中の「名古屋から沖縄まで」の分
- 「カシミール3D パーフェクトマスター編―山と風景を楽しむ地図ナビゲータ」付属CD-ROMの中の「北海道・東北から福島南部まで」の分
これを読んでいる方の住んでいるところや、あるいは旅行や山登りをする主な地域が、東北とか西日本とかの場合には、私が上で勧めている「カシミール3D GPSで山登り」ではなく、関東甲信越以外の地域の5万分の1地形図が入っている上記2冊のどちらかを最初に買う、という選択肢もあるかもしれない。
しかしそれらの本には2万5千分の1の地図が全く入っていないし、付属しているのがCDではなくDVDという点を考えても「カシミール3D GPSで山登り 関東甲信越の山 300コース」は是非押さえておきたい本だと思う。
[スゴイ!3DでのGPS再生]
ではカシミール3Dで何が出来るのか?
カシミール3Dでは以下のGPSデータを読み込むことが出来るそうだ。
TRK、WPT、RTE、POT(以上4つはPCX5互換のものに限る)、NMEA、IPS、CSV、TDF、Waypoint+、SDF、GPX
(「カシミール3D オンラインマニュアル 4.1使用できるデータ」より)
それを読み込むと地図上にGPSのルートが表示される。まあこれはGPSデータを扱えることを標榜しているソフトなら当たり前。ここからすごいのだ。
とにかくこれだけでもカシミール3Dを持っている(買う)価値があると私が思うのはGPS再生である。GPSデータの中の特定のトラックを指定して3Dでの再生すなわちそのルートを進む時の景色の再生が出来るのだ。百聞は一見に如かず。
(高解像度の動画はこちらです)
とまあこんな感じ。(見れない人はゴメンナサイ)
ただしこの3Dは専用地図の等高線を使ったものなので、都市部でのビルなどは再現されておらず、ある程度等高線で標高差のあるGPS経路の場合に楽しむことが出来、そういう点では一般に認識されているように「この機能に関しては」アウトドア向けかもしれない。
まあアウトドアといっても都市部から離れてドライブとかハイキングとかに行くレベルでも十分に楽しめるんじゃないだろうか。(なおマニュアルページ
[GPSデータの修正に便利!]
だがこのソフトが便利なのは3D再生だけではない。特にアウトドアの人に限らずこのソフトが便利だと思うのはGPSデータを編集(修正)するのが便利な点である。
すなわちGPSデータは実際に採ってみると誤差が大きい、明らかにルートから外れているウェイポイントなどがあるわけだが、そういうデータの修正がこのソフトでは比較的容易なのだ。
GPSデータロガー、GPSレシーバでの専用ソフトの中にはこのようなGPSデータ編集機能などが付いているものもあり、WBT-201に付属のTimeMachineXなどもそれが出来るのだが地図としてはGoogleMapを使っているのでインターネット接続時(オンライン)しか使えないし、あくまでWBT-201のデータしか扱えない。
私がシェアウェアで購入した”GPS Utility”もデータ編集は出来そうなのだが基本的には地図がついていない。
そんなわけで基本的には地図データを購入してしまえばオフラインで使用できるカシミール3Dが便利なのである。
そもそもGPSデータにはウェイポイント、ルート、トラックという3レベルのデータ構造から出来ているのだがその間の相互変換なども容易である。その結果、たとえばトラック1とトラック2があるときにこの2つを分割、結合してトラック1の前半、トラック1の後半+トラック2の前半、トラック2の後半の3つのトラックに再編集したりすることも比較的簡単に出来るのだ。
もっともカシミール3Dで使われている地図は最大で2万5千分の1の縮尺の地図。これはゼンリン電子地図帳やGoogleMapで普及している住宅地図レベル並(5千分の1?3千分の1?千五百分の1?)ほどには細かくない。具体的には都市部の街中のブロックなどは完全に把握できないし、建物の形なども超大型のビルとかではない限り全く分からない。
だからそこまで細かいGPSデータの編集が必要な場合にはカシミール3Dでもちょっと難しいと思うけれども、そうでなければGPSデータを編集するのにカシミール3Dは非常に便利なソフトだと思う。
[いろいろスゴイ!]
私はまだそんなに使いこなしていないので、上記以外にカシミール3Dのスゴイところを強調できないのだけれども、ちょっとだけ挙げてみるにしても
- こちらで紹介してあるように地図データとしては外国の地図も使えるので海外でGPSを使う場合には便利?
- USB接続のGPSレシーバを使ってリアルタイムナビゲーションが可能。
- デジカメ画像をGPSデータと付き合わせてデジカメ画像に座標データを書き込むことが多分可能?