前の記事のような自作PC現状(特にAMD CPU)調査の上で、10年ぶりに自作パソコンのマザーボード、CPU、メモリ一式を買い替えた。購入した製品は以下である。
- マザーボード:ASUS PRIME X670-P-CSM 32680円
- CPU:Ryzen 8600G(Ryzen 5シリーズ) 34801円
- メモリ:DDR5-5200(PC5-41600) 15900円
購入店舗は秋葉原ツクモ「TSUKUMO eX.」店である。本記事では購入店の決定理由、マザーボード・CPU・メモリの各製品を決めた経緯について述べる。
[推敲度 4/10]
なお、以前に書いた関連ブログ記事として以下のものがある。
2年前(2022年)にAMD SocketAM5マザーボードに注目し、買い替えようと考え始めた記事(しかし結局買い替えず)
→「自作PC8年ぶりのマザボ交換 Socket AM5のAMD Ryzen 7000シリーズに注目」(2022/10/1)
今回(2024年)再び買い替えを検討し、10年ぶりのマザーボード買い替えという観点から自作PCの規格変化などを調査して書いた記事
→「10年ぶりマザーボード交換~Core i第4世代からSocketAM5へ」(2024/11/25)
上で書いたような動機を出発点として、検討・調査の上で実際にマザーボード等購入まで至った報告が本記事というわけである。
1■購入店が秋葉原ツクモだった理由
●マザーボード探し、秋葉原巡りで訪れた店舗
今回、自作パソコンパーツを見繕うために3回、秋葉原巡りをした。4回目では真っ直ぐツクモを訪れて購入。
・秋葉原巡りで複数回訪れた店舗
TSUKUMO eX.
ソフマップ AKIBA パソコン・デジタル館
パソコン工房 秋葉原パーツ館
ドスパラ 秋葉原本店
アーク
・ほとんど行かなかった店舗(気まぐれ)
(ヨドバシカメラ ヨドバシAkiba店)
(ツクモパソコン本店)
●ツクモ、TSUKUMO eX.で購入した理由
・ツクモは自作パソコンのパーツに関しては専門店というべき店で、自分のイメージとしては自作パソコンでは信頼性があった。
・最終的な購入商品でもあったAUSU PRIME X670-P-CSMは、最初の秋葉原巡りの際にその店TSUKUMO eX.で最初に目をつけた製品だった。最終的にその商品がある店は他にほとんど無かった(後述のように2年前の製品だから?)。またツクモの店「TSUKUMO eX.」では値段もそこそこ安くなっていた。
・最初にその商品に目をつけることが出来た理由はツクモの店「TSUKUMO eX.」ではマザーボードの店頭商品紹介に詳しめの仕様表がついていて、自分の目当てである「SATAポート数」も記されており、それにより店頭で商品を比較できたお陰だった。他の店ではSATAポートまで書いた仕様表を店頭につけているとは限らず、店頭で見ただけではSATAが多いものを見繕うのは困難なことがしばしばあった。(マザーボードの箱の裏には書いてあるが一つ一つ端から見ていくのは現実的ではない。)
・ツクモの店「TSUKUMO eX.」は21時まで営業(2024/11現在)していて昼間勤務の日の会社帰りに寄ることが出来た。20時前に店に入ったが、購入し終わって帰る時には「蛍の光」が鳴っていた。
・製品についていくつかの疑問があり、閉店1時間前(平日)の状況を危惧しつつ、店員に尋ねたところ、立石に水のようにむっちゃ詳しく説明され、疑問、不安が氷解し、「自作パソコンならツクモ」というイメージを再確認し、そこで買う気になった。
●ツクモで買うことを逡巡した要因
・何しろ今回のマザーボードは10年ぶりということで、熱心なジサカーではなく、その結果ツクモも滅多に利用せず、ポイントカードも無効になっていると思われたし、昔からツクモではポイントを貯めては結局1年以上利用せずに無効になるのを繰り返していた記憶があった。ポイントを活用するという点ではソフマップやヨドバシカメラの方がよく利用しているのでそちらのほうが良い。
なお結果的にはツクモでもまだ自分のポイントカード自体は有効だった。
・最終段階で目をつけた第二候補のマザーボードがソフマップの方が随分安かったように思われた。
ーーーー
以上を検討したうえで、最終的にツクモの店「TSUKUMO eX.」となった。以下、マザーボード、CPU、メモリの各購入製品について、その製品を選んだ理由を述べる。
2■マザーボードASUS PRIME X670-P-CSMに決定した理由はSATAポート6個
冒頭で述べたように、購入したマザーボードは
ASUS PRIME X670-P-CSM
である。前回の記事
・10年ぶりマザーボード交換~Core i第4世代からSocketAM5へ(2024/11/25)
で書いたように10年前と同様、自分はSATAポートの数に拘りたいと考えていた。
●店頭で感じた疑問
まだ知識が十分でない段階でツクモ本店でSATA6個の上の製品を見つけ、目をつけただが、店頭で疑問に思ったこともあった。
・上の商品「ASUS PRIME X670-P-CSM」の価格コムの最低価格は4万円半ばに対して、店頭での価格が3万円半ばになっていて随分安い。
・「BIOS更新済商品」「BIOSアップデート作業の為、若干の使用感があります。」という張り紙、すなわち開封したという記述がある。折角の新品の品を開封してまでアップデートをしなくてはいけない製品なのか。
だが、それらはその後、自分で調べを進めて判明する。
価格コムの履歴を見ると、この製品は2022年10月発売、すなわち2年前であり、一時は三万円にまで落ちたのが取り扱う店舗が減って、価格comの登録価格としては値上がりしたことが分かった。
これにより発売後2年も経っていることが改めて自分に認識された。マザーボード自体2年前の発売となると、その後に発売されたCPUのラインナップ、すなわちRyzen 8000、Ryzen 9000シリーズへの対応ではBIOS更新が必要となり、店舗が封を開けてまでそれに対応する必要があったということだ。実際、今回自分が買ったRyzen 8600Gは2024年2月の発売ということで上記のマザーボードの発売後1年以上後の製品ということで、やはりBIOSアップデートが必要だった可能性が高い。
●普通であれば発売の新しい製品が良いのだが
自分は今回が10年ぶりのマザーボード更新。次も10年くらい使う可能性がある。それならば少しでも新しい、最近発売された製品を使うほうが理想であろう。普通であれば私もそう考える。
しかしである。価格comのマザーボードスペック検索で
・SocketAM5対応
・フォームファクターはATXかmicroATX
・SATA6個以上
で検索するとマザーボード製品が11製品ほど挙がる。逆に言えばたった11製品である。そして2024年11月現在、値段がついているものは半分くらいしか無く、すなわちそれはもう市場には出回っていないということだ。
しかも発売年月で並べると、発売は2022年後半、すなわち2年前に集中しており、その後、2年間、上のような商品(SATAポートが多いもの)が出ていないことが分かる。
そう、上の目をつけたマザーボードがたまたま古かったのではない。私が拘る「SATA6個以上のSocketAM5対応マザーボード」というのが2年前すなわち2022年までにしか出ていなかったのだ(注:フォームファクターがExtended ATXのものは出ているようだ。あるいはIntel CPU系のマザーボードであれば出ているとのこと)。
●今手に入れなければ!
そう考えると、むしろ製品の変遷の激しい自作PC業界で、その商品が2年も店頭に残っていたことをむしろ感謝せねばならない。これを買い逃がせば、中古でしか買えなくなる。マザーボードを中古で買うというのは(昔はしていたが今となっては)したいものではない。
それどころか、2022年に発売されてその後出ていない「SATAが6個のSocketAM5対応マザーボード」(ただしATX、microATXに限る)は、もはや店頭では風前の灯火だ。今買わなければ来年、いや、来月には売れて、もう店頭にはなくなってしまうかも。
それが、この数年なかなか決断できなかったマザーボード交換、購入を決意できた最終的な決定打であった。
3■改めてマザーボードASUS PRIME X670-P-CSMの特徴
本節では改めてSocket AM5対応マザーボード
ASUS PRIME X670-P-CSM
の特徴を述べる。
・2022年10月発売商品。2024年末の現在となっては型落ち品と言え、CPUによってはBIOSアップデートなどを必要がある。
・本マザーボードは名称にX670とあるようにチップセットがX670のマザーボードだ。同時期2022年に出たチップセットはX670E、X670、B650E、B650の4種登場したが、その後2023年にA620、そして今年2024年に後継にあたるX870E、X870がリリースされた。
同時期に出た中では4つのうち上から2番目ランク。2年後の今年出た後継がX870と言えるだろう。ただしX870はX670に比べるとSATAの数は8ポートから4ポートに減っている。
「X870E・X870チップセット搭載マザーボードは何がスゴい? X670E・X670との違いを解説」
・ASUSはマザーボードでブランドを作っており、本製品は「PRIME」であるが、これは「手頃な価格を実現するスタンダードな定番シリーズ」とのこと。
「ASUSマザーボードのROG/ProArt/TUF Gaming/Primeってなにが違う? 最新X870搭載モデルで性能検証を交えてチェック – AKIBA PC Hotline!」
・SATAポート6個。前節で述べた通り、SocketAM5対応マザーボードでSATAが6ポートある製品は2024年11月現在、非常に限られている。
ただし本製品では2ポートはPCI Express x1と排他。すなわちPCI Express x1を使う場合には4ポートとなる。(他のSATA6ポート搭載製品は同じような排他制限があるわけではない。)
・m.2スロットが3つ。ただしCPUの種類による制限を受ける。
・PCI Expressスロットは
PCIe 4.0 x16(x16モード)、1スロット
PCIe 4.0 x16(x4モード)、2スロット
PCIe 3.0 x1、1スロット
ただしこれもm.2スロットと同様にCPUの種類による制限を受け、たとえば最初のスロットはRyzen 8000シリーズではx16モードでは機能せず、x8/x4モードとなる。
・フォームファクター規格(PCケースに収めるためのサイズ)はATX、自作の王道。microATXよりは大きい。
・メーカーはASUS(アスース、エイスース、アサス)。1998年頃、自分の初組立パソコン(友人作)もASUSマザーボードだった。今回ASUSのマザボを自作PCのメインにするのは19年ぶり。ASUSはその後、各種事業にも乗り出しているが、自分もスマートフォン製品を2製品、タブレット1製品使っていたことがある。自分にとってはとても馴染みがあるメーカー。
・ただしASUSのマザーボード日本語サイトは使いにくい。仕様表ページなど英語版の方が良い。
・昨今のマザーボード内蔵GPUはCPUの内蔵GPUに依存する。AMD CPUはRyzen 7000以降は基本的に内蔵GPUを備えるものの、「F」がつくCPUは内蔵GPUを備えていない(8400F、8700F)。よってそれ以外のRyzen CPUを購入すれば内蔵CPUが使える。
・そのGPU内蔵CPUを使った場合に対応するため、ディスプレイポートとしてHDMI、DisplayPortを備える。10年前のようにD-Sub、DVIはもう搭載しないのが一般的で、SocketAM5対応マザーボードでそれらを備えたものは見つからなかった。
・メモリはDDR5 SDRAM、5200までが標準。これに関しては後述。
・(この項、調査不十分)SATAのストレージやCD/DVDからの起動はレガシー起動であるCSM(Compatibility Supported Module)を有効にする必要があるが、内蔵GPU利用ではそれが有効に出来ないように思われる(調査中)
4■CPUはRyzen 5シリーズのRyzen 8600G
前の記事ではCPU選択に関してはあまり記述しなかったので、本記事で記述する。すなわち選ぶにあたって事前に得た知識としては以下の通り。
(参考)「AMD Ryzenシリーズ「3 / 5 / 7 / 9」世代一覧と性能差まとめ | ちもろぐ」
など他
●AMD CPUの昨今の状況は自分の事前調査と店員に聞いた感じでは以下ような感じ(熟知している方は読み飛ばしてください。)
・AMDのCPUは世代に関係なくRyzen 7、Ryzen 5、Ryzen 3でランク分けされており、それぞれ上位、中位、下位となる。これはIntelのCore i7、Core i5、Core i3に相当し、実際真似たものとされる。
・一方で世代としてはRyzen 3000、4000、5000、7000、8000、9000番代と進んできてきて、Ryzen 7000以降、8000、90000がSocketAM5を採用したプロセッサである。
・必須な知識ではないが、マイクロアーキテクチャーとしてはZenとされ、2017年に初めて発売され、そのマイクロアーキテクチャに基づいたCPU製品がRyzenと命名された。Zenはバージョンアップを続け、Ryzen 3000、4000がZen2、Ryzen 5000がZen3、Ryzen 7000、8000がZen4、Ryzen 9000がZen5のマイクロアーキテクチャとなっている。
・CPUの番号の末尾にはCPUの特徴を示す英文字が付加され、無印がノーマル、Xが高性能、Gが内蔵グラフィック高性能化、Fが内蔵グラフィックなし、X3Dがゲーム高性能になっている。
・7000以降はむしろ無印は少なく、Xが主流。Gシリーズは7000以降は8000で出ており、8000はG( グラフィック高性能)とF( 内蔵グラフィックなし)のみのラインナップ。
・Ryzen 7000は初のSocket AM5採用のZen4シリーズとして2022年に登場、Ryzen 8000は2024年2月、Ryzen 9000はZen5シリーズとして2024年7月に登場した。
・Ryzen 8000はグラフィック機能を強化した分、マザーボードのPCI Express、m.2スロットの性能に大きく影響を与える製品(主に機能低下)となっており、影響の受け方はマザーボードそれぞれなので注意を要する。
●自分の購入はRyzen 8600G(Ryzen 5シリーズ)
上述のような知識を元に自分が購入を決めた流れは以下の通り。
・自分の購入価格帯は2万円~4万円(最大5万円くらいか)
・CPUの分類(無印、X、X3D、G、F)だが、X3Dは高すぎる。そもそもそこまでゲームをするか分からない。内蔵GPUは性能はどうであれ絶対欲しいので、Fの選択はなし。そうすると必然的にXかGか無印だが、無印自体、少なく、現実的にはXかGか。
・グラフィックカードは6年前のASUS PH-GTX1060-3Gを所有している。
これはPCIe 3.0世代だが現在のPCIe 4.0、5.0とは後方互換があるので使えるのは使えると思われる。情報を漁ったところ、Ryzen 8600GはRadeon 760MというGPUを内蔵していて、これはGTX1060と同程度らしい。同程度というのは微妙だが、グラボを使わないとなれば同程度の性能は欲しい。XではなくてGを買うか。
・Ryzen 8600Gと8500Gとでは値段は9000円差(3万円台と2万円台)だが性能差はちょっとあり。
・CPUのGシリーズを取り付けた場合に、Xシリーズに比べてグラボの能力が落ちる件だが、6年くらい前のグラボになるとそんなに差は出ないだろうとのこと。
将来的に(ゲームをする気になり)相当良いグラボを買った場合、Ryzen Gシリーズだと影響が出る可能性がある。その時にはCPUもXシリーズなどに買い直すなどの手が考えられる。
・自分はいくつかの3Dゲームをプレイし、6年前はそのためにグラボを買ったが、将来グラボを買い直すかは全く未定。プレイしたい3Dゲーム(SW関係かソウルキャリバーシリーズ?)が世の中に出たら買うかもしれないが、特に現在それらのゲームが出る見込はなく、そもそも出ても買わないかもしれない。
仮に期待するゲームが出て、もしグラボを買い直すことになったら、昨今のCPUも中古でぼちぼちになっているだろうから、同時にCPUの交換も検討すればいいだろう。そういう取っ替え引っ替えが出来るのも自作パソコンの一興である。
・Ryzen 9000よりクーラーが付属しなくなったとのことだがRyzen 8000ではクーラーが付属する。
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以上のような検討からRyzen5シリーズのRyzen 8600Gとなった。
自分自身、現在調査中だがSATAストレージからの起動ではCSM(Compatibility Supported Module)を有効にすることが必要だが、内蔵GPUの使用では出来ないようだ。自分はSATA接続のストレージを重視するのでそれが分かっていれば内蔵GPU重視のRyzen 8000シリーズは買わなかったように思われる。この内容、現在調査中。
5■メインメモリDDR5の選択
・自分のマザーボード
ASUS PRIME X670-P-CSM
は5200までが標準で、それ以上はオーバークロック仕様だという。
・自作パソコンでのオーバークロックなるものは遥か昔(感覚的に20年前くらい?)に、試みたことはあったが長年無縁のものだ。トラブルの元となり、むしろあまりプラスのイメージはない。
・ただ店の人によると、このメモリのオーバークロックは昔のようにユーザが設定を調整したりするのではなく、マザーボードで自動判定してくれるので、面倒な手間はないとのこと。
・このマザーボードは2年も経っているわけだが、それは枯れている、ある意味、使いこなされて不具合報告なども集積されているということなわけだが、特に少々のオーバークロックでの不具合は報告されていない。
・5300以上を買うとすると6000くらいまでなら問題がないように思われる。それ以上になるとやはり電圧等の絡みで不具合の可能性も出てくる可能性があるので、それくらいで抑えておくのが安心だろう。
・以上のような話だったが、自分としてはマザーボードもCPUも、往年の中では相当高い(というか自作歴26年でCPUもマザーボードも最高価格か?)のを決定したため、メモリは5200で極力コストを抑えたい思いもあった。
ーーー
以上のことから
DDR5-5200 PC5-41600
CORSAIR VENGEANCE MEMORY FOR AMD
CMK32GX5M2B5200Z40
を購入した。
6■終わりに
以上のようにして、マザーボード、CPU、メモリを決定した。
マザーボード、CPUの節で最後に記したように、このマザーボードでは内蔵GPUの場合に、CSM(Compatibility Supported Module)を有効にできない、それを有効に出来ないとSATAストレージからのOS起動が出来ないという性質があるようで、それが認識できていれば選択肢は変わった可能性がある。
次は組立時のレポートを書く予定。