Galaxy S6の衝撃:バッテリー交換可能、取り外し可能スマートフォンは消滅するのか?

 昨月2月中旬、Galaxy S5 SCL23を白ロムで買った自分であるが、今月3月2日、SamsungよりAndroid最新フラグシップスマートフォンGalaxy S6が発表された。この時期のGalaxy Sシリーズ発表は恒例のものであるが、今回発表の仕様には私にとって重大な変化があった。
 Galaxyフラグシップシリーズで初めて、とうとうバッテリーが自由に交換できなくなったのである。

[推敲度 4/10]
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[急速に減ったバッテリー交換可能機種]

 5年前にはスマートフォンでバッテリー交換はむしろ一般的であり、ほとんどの機種で可能だった(勿論iPhoneは除く)。それが3年ほど前からバッテリー交換不可能、取り外し不可能な機種が登場するようになり、この3年の間にその割合が著しく増大、最新のau KDDI機種ラインナップ(2014年冬)では現行機種でバッテリー交換可能なのはSamsungのGalaxyシリーズ3機種のみとなってしまった。

 この話で思い出されるのは、au KDDIがLTEのサービスを2012年11月に開始し、対応機種を発表した時のこと。私はau LTEの登場を楽しみにしていて、お気に入りメーカーであるHTCの製品、HTC J butterfly HTL21を当初買おうと思ったのだが、よくよく調べるとその機種がバッテリー交換不可能であることを知り、歯噛みする思いで断念したのをよく覚えている。考えてみればあの頃が一つの転換点であった。

2年前にはこんな記事も出ている。

・山田祥平のRe:config.sys/はめ殺しバッテリのトレンド
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/config/20130426_597481.html

 それでもこの頃のラインナップではバッテリー可能な方が一般的であったのだが、その後この2年間で驚くほど早くバッテリー交換不能が一般的になってしまう。

[バッテリー交換に拘ってきたSamsung]

 SamsungのGalaxyシリーズは群雄割拠のAndroid陣営の中でトップシェアを占めてきた製品だ。その中でも比較的スタンダートタイプ一で最高スペックのSシリーズと、大型画面、タッチペン付のNOTEシリーズの2つのシリーズがフラグシップと存在し、春にSシリーズ、秋にNoteシリーズの最新機種が発表、発売されるのが恒例となっている。そして昨年2014年のGalaxy S5、Galaxy Note 4(派生のGALAXY Note Edge)までは全てがバッテリー交換可能だった。

 他社のほとんどがバッテリー交換不可に靡く中で、Samsungのこの方針には「拘り」があったと思われる。そしてこの拘りは、同じくバッテリー交換可能機種を使い続けようとする私には有難いものであった。とりわけAndroid陣営では一番のシェアを占めるサムスンがこのような方針であったことは心強かった。

 ところがニュースサイトの情報によると、SamsungはGalaxy S5が想定ほど売れ行きがよくなかったため、ZEROをコード名にするほどGalaxy S6の設計を一から考えなおしたという。

・危機のサムスン、GALAXY S6をProject Zeroの名称でゼロから再設計へ | リンゲルブルーメン
http://rbmen.blogspot.jp/2014/11/galaxy-s6project-zero.html

 その記事には書いていないが、その結果、Sシリーズはバッテリー内蔵型の製品に移行することを決定したようだ。

[自分もバッテリー交換に拘ってきた]

 私がスマートフォンを使い始めたのは6年前からだが、一貫してバッテリー交換可能、取り外し可能機種を使ってきた。音楽プレーヤーとテザリングという、バッテリー消費の激しい使い方の目的で導入してきたため、当初はそれで連続使用していると4~5時間でバッテリーが尽きた印象だ。

 そんなに連続で使わなくても勤務時間中に尽きてしまうことは多かった(シフト勤務で長時間の勤務が多かったせいもあろう)。

 そんな自分にとって、予備バッテリー2つ、すなわちバッテリー3個運用は必須であった(勿論スマートフォン1台あたり)。実際の使い方としては1個目のバッテリーが帰宅までに尽きることは日常で、すなわち勤務途中か得てして帰りがけに装着済1個目が切れ、予備バッテリー1個目と交換するのが日々の使い方だった。

 ただし全3個のうち、2個が尽きることはそれほど多くなかった。朝から晩までプライベートな外出で頻繁にスマートフォンを使ったりとか、1個目や2個目で異常にバッテリーが減る使い方をしてしまう(テザリングやライトなどを付けっぱなしとか)ことで、バッテリーがあっという間に減った時などに3個目は活躍した。
 それから予備バッテリーを充電し忘れることも時々にあり、そういう場合には予備バッテリーが2個なのは救われた。

 すなわち予備バッテリー2個、全バッテリー3個の生活により
「外出先でスマートフォンのバッテリーが尽きた」
という状況がほとんど起こらずに済んだのである。

 この上で、万が一バッテリー3個が尽きた場合はどうするか。モバイルパソコンを持ち歩いている私はパソコンをモバイルバッテリー代わりに出来た。

[バッテリー交換可能のメリットとデメリット]

 ここで改めてバッテリー交換可能な機種で、予備バッテリーを持つことのメリットとデメリットを考えてみる。

【メリット】
(1)予備を持っておけば1日の間の使用中にバッテリーが尽きても交換して対応できる。
 必要に応じて複数を持っておけば外で充電をする気遣いをする必要がない。
(汎用モバイルバッテリーと比較して)交換してしまえば使い勝手としては煩わしくない。充電が進んでいるかなどを気遣う必要がない。

(2)そもそも、バッテリーは劣化するものであり、速くて1年で劣化し始める。バッテリー交換可能な機種では劣化した場合には改めて新しいバッテリーを買えば済む。
 交換不能な機種で交換を頼むと数千円~1万円?とかするという話も聞く。

(3)世の中には大容量バッテリーなるものがある。これはメーカー純正のものよりも容量を大きくしたサードパーティ製の製品で、その中には物理的にも大きくて、そのために専用バッテリーカバーを使うものもある(自分も実際これを使っている)。
 こういうものを使えるのもそもそもバッテリー取り外しが可能だからである。


Galaxy S5 SCL23の大容量バッテリー、所謂デカバ。
その筋では有名なMugenBattery製やもっと安い製品がある。
ただし一部のおサイフケータイが使えなくなるなどのデメリットはある。

【デメリット】
(1)バッテリーを交換するという作業を面倒だと感じるかもしれない。
 だが個人的にはモバイルバッテリーを使ったり、外出先で充電する気遣いをするほうが遥かに面倒臭い。
 昨今、職場や出先でスマートフォンを充電している人をしばしば見かけるが、私から見るとそういう気遣いをしながらスマートフォンを使うのは大変面倒だと思う。充電する気遣いもさることながら、そのまま忘れて帰ったりしてしまう場合も往々に発生しそうだ。

 モバイルバッテリーについては装着しながら戸外で操作するのは大変面倒臭い。実際、私もモバイルパソコンからの給電、充電をしながらスマートフォンを使ったことがあるが、コードが非常に鬱陶しく、ちっとも「スマート」フォンにならなかった覚えがある。

(2)予備バッテリーを充電する方策を整えなければならない。
 バッテリーが尽きた時に交換する手間は厭わないが、家で充電するためだけに交換作業を行うのは面倒だ。すなわち予備バッテリーを充電する際にスマートフォン本体に入れて充電するならば予備バッテリー全てで充電し終わると交換するという作業が自宅で必要になり、これはかなり面倒臭い。

(a)メーカーが純正で専用予備バッテリー充電器を出している場合が稀にある。
 今まで自分が使った機種では
Galaxy Note 3 SCL22
など。

(b)比較的メジャーな機種だとサードパーティが専用予備バッテリー充電器を出している場合がある。
 今まで自分が使った機種では
htc Touch Diamond (S21HT)
htc EVO WiMAX ISW11HT
Xperia VL SOL21
など。

(c)汎用の予備バッテリー充電器というものがある。端子などを微調整しなくてはいけないが専用がないので仕方がないし、一度合わせれば2回目からはそれほどでもない。
 ただ、汎用の充電器は満充電まで至らないことが多いようで80%ほどしか充電できないことが多いようだ。
HYBRID W-ZERO3 (ハイブリッド ダブリューゼロスリー、WS027SH)
Optimus G LGL21
など。

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右からLG某用の専用充電器(メーカー純正)、
Xperia VL SOL21の専用(サードパーティ製)、汎用充電器

(3)機種を変えると殆どの場合、予備バッテリーは使えない。
 現在、スマートフォンのバッテリーの殆どが機種間で互換性がない。そのため機種を変更すると予備バッテリーは基本的に使えなくなる。その機種をあまり長い期間使わずに買い替えたりすると予備バッテリーごと無駄になる。
 たとえば自分は
GALAXY SII WiMAX ISW11SC
という機種、使い始めたら気に食わなくて2ヶ月で買い替えたのだが、これも予備バッテリ、しかも大容量バッテリーを買ってしまったので、かなり無駄な出費をしてしまった。

[バッテリー交換可能機種は死滅するのか]

 Androidではトップを走っていたSamsungのGalaxyシリーズがとうとうバッテリー交換不可になったことは、私にとって
「Samsungよ、お前もか!」
といった感じで、とてもがっかりだ。

 Apple一社が出しているiPhoneと異なり、多くの企業が製品を出しているという多様性が魅力の一つのAndorid。だが実際には急速な大画面化といい、このバッテリー交換不能化といい、流行に流れて右に倣えする傾向もあるようだ。

 バッテリー交換不能な製品が増えたのは、軽量化、軽薄化に加え、防水・防塵の性能をあげる際に密閉度が高いほうが有利だったからだと思われるが、個人的にはバッテリー交換を犠牲にしてまで薄くされても嬉しくない。耐久性のある製品がGalaxy Activeとして出ているように、普通の製品でそれほど耐久性のある必要はないんじゃないかろうか。

 スマートフォンの業界の変化は激しい。結局このまま一気にバッテリー交換可能な機種はなくなってしまうのか、それとも散発的には登場するのか。バッテリー交換可能な事自体、ニッチな製品になってしまうのか。溜息を尽きながら新製品の動向を見守る日々が続きそうだ。

 メーカーさん、お願いだからバッテリー交換可能機種を出し続けてくれ!

[おまけ:microSDスロットも無くなったGalaxy S6]

 この節は本ブログ記事の趣旨としてはオマケになるが、Galaxy S6においてバッテリー交換不能に加えて大きく変ったのだがmicroSDスロット(microSDXCスロット)がなくなったことである。

 実はスマートフォン選びで自分が拘ってきたのは「バッテリー交換可能」と「microSD装着可能」の2つであったのだ。ただmicroSDについてはバッテリー交換とは違い、日本では装着可能なのが一般的である。これで日本市場に受け入れられるかは疑問なのだが、、、

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コメント

  1. HAWK より:

    仰る通りで・。『これで、サムスンはお終い』・。兎も角、中古では有りますがSC-3Dを使ってます。
    フューチャーフォンとの2台持ち(そのフューチャーフォンもドコモは廃止にするとか・・)電源スイッチの長押しで
    OFF出来ない場合は電源強制になりますが・。
    聞く所ですと「バッテリー交換出来ない物でリセットキーでも受付けない場合が有りその場合は放電させて強制OFF」実に『エコ』とは真逆な方針は如何なものかと・。こんな事をしていると・アップルか格安SIMフリーの方に益々ユーザーは行くと私は思います。安い物でも無い。キャリアは補償が有るからキャリアにいて高いスマフォを分割で買っている。分割が終わった頃・バッテリーが劣化して又新しい機種を分割・・(或いは仰るように修理扱いで交換)の繰返し。
    スマートでは無いなぁと思う次第です。

  2. rasau より:

    技術革新でちまちま電池容量上げても仕方無いという考えなのか笑、韓国では予備バッテリーがデフォで付いてくることが多かったようですね
    予備バッテリー付ければ容量倍ですからね笑
    その開き直った考え方が私は大好きなのですが、これこそ韓国メーカーの端末を買う唯一無二の理由でした。
    LGのL-05D辺りは日本発売の時でもデフォで電池が付属していて喜んだものです。。。
    LGがダメになって、サムスンまでこうなってしまうとは…
    スマホってのは電池が持たないものなんだよ!電池が持ったらスマホじゃないやい!と言いたいですね笑
    同じ感覚をお持ちの同士がいて安心しました。

  3. ともちゃん より:

    まだスマートフォンを手に入れていないものです。
    iphoneなどを、充電のため外部バッテリーとドッキングさせ
    て2階建てで使っているのを見ると、「全然スマートじゃね
    ーな!」と常々思っておりました。(笑)
    現在手に入る一番新しいバッテリー交換可能機種はどちら
    になりますか?
    また、多少古くても、画面操作がサクサクできるバッテリ
    ー交換可能機種おすすめはどちらになりますか?

  4. ちろる より:

    同じく、バッテリー消費がはげしいため、当然バッテリーそのものが1年もたたないうちに劣化をはじめてしまうので、すぐに交換できない機種なんてありえない!と感じている者です。ドコモを使用していますが、他モバイルフォンから交換可能タイプが出ていたので会社自体乗り換えを検討しています。使い勝手がいいのが一番。

  5. サムちゃん より:

    ギャラクシーを持っていることに、友人からバカにされたことがあるが、それでもバッテリー交換ができるメリットを強調してやり返してきた。友人はモバイルバッテリーを持ち歩けばいいと言うが、充電する時間がない場合はどうするかなど私の意見に少しの理解は示してくれた。これからの新しい機種はすべて、交換できるなくなるの?そうであれば、ギャラクシーにこだわる必要は全くない。次回からは他のメーカーにしようと思う。