私はマルチ、デュアル対応の自作パーツが好きである。どれくらい好きかというと、遥か昔、PC8801とPC9801のデュアルだったPC9801 DOを買って貰ったくらいだ。
...などという言葉書きは2年半前に書いたので略す。
さて2年半以上ぶりに自作パソコンのCPUとマザーボードを買い換えようと思い至った。
直接(か?)の動機は、ここずうっと結構遊んでいるスターウォーズのゲームBattleFrontの待ち時間がもうちょっと短くなれば良いな、とか思ったためである。当初そのゲームの待ち時間はゲームの仕様かと思っていたのだが、少し性能の良い実家のパソコンでバトルフロントをしてみたら待ち時間がちょっと早いことに気がついたのだ。
まあ新しい構成にするのは必ずしもそれだけが理由だけじゃないがまあそんな感じである。(だが実際に新構成への道の途中でその目的は吹っ飛んだ...ことは読んで貰うと分かる。)
[旧規格と新規格]
さて自作パソコンを作る際にいつも悩まされるのが新規格の登場である。2006年前半現在、実はパソコン分野では各種の規格の変わり目なのだ。すなわち
旧規格 | 新規格 | ||
メモリ | DDR SDRAM | DDR2 SDRAM | |
ビデオボード | AGPスロット | PCI- Express x16スロット | |
CPU | Intel製品 | Socket478 | LGA775 |
AMD製品 | Socket754、Socket939 | SocketAM2 | |
HDD | IDE(パラレルATA) | SATA(シリアルATA) SATAII |
|
マザーボード(ケース)規格 | ATX | BTX |
という具合だ。
[便利なデュアル仕様のパーツ]
そんな時に便利なのが最初に述べたような両対応パーツである。
たとえばビデオボードの規格であるAGPとPCI Express両対応のパーツがあるとしよう。今、パソコンのパワーアップを考えていてCPUの規格は新しいものを買うので仕方ないにしても、ビデオボードは現在のAGP規格のものを使いたいとする。
そうなると
CPU:新しい規格
マザーボード:AGP対応のもの
から選択することになるが、そうなるといずれ新規格のPCI Express対応のビデオボードを買う際にはマザーボードも新しいものを買い換えねばならないことになる。
しかしAGPとPCI Expressの両対応のマザーボードを買えば、とりあえず当分はAGPのビデオボードを使い、機会があるときにビデオボード「だけ」PCI Express x16規格のものにすれば良い。
そんなわけで両対応のパーツは甚だ便利なのである。
[単に買い換え回数が少ないだけではない両対応マザーボードのメリット]
これは一言で言えば「買い換え回数を少なく出来る」ということであるが、両対応パーツのメリットはそれだけではない。特に両対応マザーボードのメリットとして
「パーツの不具合チェックの際に大変便利」
というのが挙げられる。
すなわち自作パソコンではなんやかんやで「組み立てたけど動作しない」ということがあり得る。その場合に両対応パーツを持っていると原因のパーツを特定しやすいのだ。
たとえば今、AGP対応マザーボードとAGP規格のビデオボードを持っていて、それらの組み合わせで、うまく起動しないとする。この時、どちらかだけに不具合があると仮定すると、それだけしかパーツがなければどちらに不具合の原因があるかは50%ずつの確率になり、特定は困難だ。
だがもし「AGPとPCI Express両対応のマザー」と「AGP規格のビデオカード」そして「PCI Express規格のビデオカード」の3者がある場合はどうだろうか。これらの中に不具合のあるものが一つだと仮定すれば、組み合わせ結果の動作確認により不具合パーツの特定が出来るのだ。
具体的に言えば
・「両対応マザーボード」と「AGPビデオカード」との組み合わせで不具合が出るがマザボと「PCI Expressビデオカード」とでは不具合が出ない→前者AGPビデオカードに問題
・マザボと「PCI Expressビデオカード」の組み合わせで不具合が出るけれどもマザボと「AGPビデオカード」の組み合わせで異常が出ない→「PCI Expressのビデオカード」がおかしい
・両者の組み合わせともおかしい→マザーボードに原因
などとなる。
無論、2つ以上のパーツに不具合があったり、ビデオボードの各スロット部分が壊れていたりする可能性も皆無ではないが、しかしそれらの可能性は低いことが多いし、またそういう運が悪い場合は他の予備のパーツで調べることになる。
こんな風にしてデュアル対応のパーツはパーツ不具合の特定を容易にするのだ。
[自作マニアは予備パーツ必須]
トラブルの多い、または自己解決の必要が多い自作パソコンユーザは自ずから予備パーツを抱え込むことが多い。多くの自作ユーザが持っている所謂「サブマシン」も不具合時のトラブル解析に重要な役割を果たしていると思われる。私は部屋のスペースなどの関係からサブマシンは作る気にはならないが、それでも予備のパーツは結構持っている。
そんな予備パーツの中で、両対応マザーボードの役割は大きい。両対応であること自体が予備になっていると言えるのである。
(つづく)