前回の記事「Windows OSのOEM版とは(DSP版とは) 前編」ではOEM版(DSP版)の性質について説明しましたが、そもそもOEM版(DSP版)というのはなぜ登場したのでしょうか。そして「OEM版」という言葉とマイクロソフトが使うようになった「DSP版」という言葉はどこが違うのでしょうか。
本記事では前回記事の続きとして、それらを理解するためにOEM版登場の経緯について書きたいと思います。(繰り返しますが「DSP版OSとは何か」については前編の記事を参照してください。)
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[そもそものOEM版とは?]
OSはパソコン本体がないと利用することは出来ません。そのためパソコンメーカが発売するパソコンにWindowsをインストールしておく「プリインストール」という考え方がWindows登場以後(特にWindows95以降)に一般的になりました。
マイクロソフトとしても各メーカにWindowsをプリインストールしてセット販売して貰うことはOSの普及させる上で非常に有利な方法です。そこで大手メーカ製のパソコンには、そのパソコンでだけしか使えない形の専用のXPがインストールされるようになり、そのようなパソコンをOEM版パソコンと呼んだようです。
OEM(Original Equipment Manufacturing)とはWikipediaの解説にあるとおり
「他社ブランドの製品を製造すること、またはその企業」
という意味ですが、パソコン製品の場合、
「各パソコンメーカーが自社ではないマイクロソフトのWindowsXPを導入し、それを看板にしてハードウェアであるパソコンを売っている」
ということから、形態としてはOEMと考えられたようです(多分)。
また、そこに入っているWindowsXPは「OEM版のWindowsXP」と呼ばれるようになりました。
メーカ製のパソコンにインストールされているWindowsXPは各製品のハードウェア(パーツ構成)に密着した仕様になっています。再インストールのための「リカバリCD-ROM」などが付属していることが多いですが、それらの品は他の製品では使えないようになっています。
このようにして組み込まれているWindowsXPは、店頭でパッケージ版として売られているWindowsXPに比べて安く供給されていると思われます。メーカーは何しろ何千何万何十万という数のWindowsXPをマイクロソフトをから買うことになりますから。
ひいてはメーカ製のパソコンを買う購入者も、通常のパッケージ版を買うよりもある程度、得な費用でOSを購入しているといえましょう。
[DSP版の登場]
もしパソコンを作って販売するところが大手のパソコンメーカだけだったらならばそれで済む話でした。その場合だったらば「OEM版OS」というものは必ず、購入したパソコンに付属しているものであり、販売形態として一般ユーザ・一般消費者の目に触れることにはならなかったでしょう。
ところがWindowsXPが登場したころにはパーツを組み合わせてパソコンを作る「自作パソコン」の方法がかなり普及し、それとともに小売店(パソコンショップ)が作って個人に販売する「ショップブランド」(オリジナルパソコン)と呼ばれる形態も出てきていました。
メーカに比べると小売店(オリジナルパソコンを作る販売店)の数はあまりに多く、それらの製品に対応するWindowsXPをいちいち作成していたのでは、マイクロフトとしても大変面倒なことになります。
また、パーツを組み合わせて一台のパソコンを作り上げ、OSも自らの手でインストールする自作パソコンユーザ達も、パソコンメーカ製利用者よりもXPを購入するのに高くついてしまうことになります。
すなわち、大手パソコンメーカを通さないでWindowsを入手する人はメーカ製パソコンを入手するよりも値段的に不利になってしまいます。
マイクロソフトとしてはこれを不公平だと考えたのでしょう。あるいはその不公平が自作ユーザやショップブランドメーカ(?)にWindowsXPの導入を躊躇わせたり、海賊版ソフトウェアに手を出すのを危惧したのかもしれません。
その結果
「一部のハードウェア(パーツ)とセットで販売し、利用することを前提に販売を提供・許可するバージョン」
として「DSP版」(Delivery Service Partner版)が作られ、提供されたのです。また、マイクロソフトは自作パソコンユーザにもこのDSP版の恩恵を許しました。自作ユーザが何らかのパソコンパーツ(実際には種類に制約がある)と一緒に購入し、そのパーツと一緒に使う限りライセンスを認める、ということにしたわけです。
このような種類のバージョンが出たのはコンピュータ業界というか、パソコン業界というか、そういうもの独自のことだったと言えます。すなわち一般の家電製品と違って、パーツを集めて組み立てて、その機械に必須であるソフトウェア=OSをインストールする、といったことが小さな小売店レベルで出来る...どころか個人でも出来てしまう、そのような場合に出てくる特殊な形態だったということです。
[OEMとDSPという言葉]
今まで多少、OEM版とDSP版という言葉を混ぜて使ってしまいましたが、それは以下のような理由になります。
OEM版というのは最初に述べた、メーカにプリインストールされた製品のことをそう呼んでいました。ところがその後に登場した、パソコン業界独特と言える
「一部のハードウェア(パーツ)とセットで販売し、利用することを前提に販売を提供、許可されたバージョン」
も本質的に同じと考えて、当初はこれをもマイクロソフトはOEM版と名付けてしまったのです。
これがおおよそWindowsXPの発売されていた前半である2001年から2004年までの頃のことでして、この間に「OEM版」と言う言葉はかなり普及しました。
確かにメーカ製のパソコンに組み込まれたWindowsOSも、上のようにして販売されているWindowsOSも「ハードウェアと一緒に使うことが前提」なのは同じなのですが、大手メーカ製によりプリインストールされたXP(OPK版もしくはSLP版)というのは、そのパソコンでのみ使える特殊仕様のCD-ROMになっているのに対して、パソコンショップに供給された件のバージョンは特定の機器に関連づけられて作られた、特殊仕様の製品(CD-ROM)ではありません。
その為、製品としては明らかな違いがあり、マイクロソフトとしては混乱の元になると気がついたのでしょう、ショップブランド向け、あるいは自作ユーザ向けである
「一部のハードウェア(パーツ)とセットで販売し、利用することを前提に販売を提供・許可するバージョン」
の方は「DSP版(Delivery Service Partner版)」と呼ぶことにしたのです。
マイクロソフトが上のようなバージョンの製品を「OEM版」ではなく「DSP版」と呼ぶようになり、またこの用語を使うよう推奨するようになったのは2003年~2004年のころのようです。
現在ではDSP版を広い意味でのOEM版の一つ、という見解をマイクロソフトはしているようです。
→「マイクロソフト DSP 版ライセンス早わかりガイド」
単に「OEM版」と言った場合にはメーカ製のパソコンに組み込まれているバージョンを指すことが多くなっていますが、それらについては
OPK版:OEM Preinstallation Kit
SLP版:System Locked Preinstall
と呼ぶこともあるようです。
すなわち「OEM版」の中にもメーカパソコン向けの「OPK版(OEM Preinstallation Kit)もしくはSLP版 (System Locked Preinstall)」と、販売店、自作ユーザ向けの「DSP版(Delivery Service Partner)」がある、と考えれば良いのではないかと思います。
パッケージ版(通常版、正規版) | 箱に入って売られている一般の製品。前のOSからのアップグレードのみが認められるアップグレード版(UG版)や教育関係者向けのアカデミックパック版などを含む。 | |
OEM版 | OPK版: OEM Preinstallation Kit (SLP版: System Locked Preinstall) |
メーカ製品にインストールされており、リカバリディスク等は特定の製品のみ動作するようになっている。基本的に単体で売られることはないが、紛失した場合にはメーカーがサポートとして有償で販売する場合もある。詳しくは別記事「[Tips] メーカー製パソコンでリカバリディスクを無くした時の対処法」を参照のこと。 |
DSP版: Delivery Service Partner |
ショップもしくは自作パソコンユーザに販売されており、一緒に売られるパソコンパーツとのみ使うよう、規定されている。その他の特徴は前編の記事を参照のこと。 |
ちなみに現在でも、「OEM版」という言葉を「DSP版」の意味で使う方々、企業等もあります。「OEM版」という言葉はマイクロソフト自身が広めた言葉であり、上述したようにDSP版は広い意味でのOEM版の一種なので間違えではありませんが、
[終わりに]
以上、WindowsXPのOEM版、DSP版について述べてきました。
2007/1/30に新OSであるWindowsVistaが発売され、そこでもDSP版が登場しています。今後もマイクロソフトがDSP版を出し続けるかは定かでありませんが、自作パソコン(AT互換機、DOS/V互換機)が普及している限り、オリジナルパソコンを作るようなショップへの対応として、DSP版が必要な状況は続くように思われます。
ただしそれを「自作パーツ」の一つと使うことがライセンスとして許されるような形のバージョンになるかは、その時になってみないと分からないと言えましょう。
以下に続く。
「[Tips] Windows OSのOEM版とは? 後編 OEM版を実際に使ってみて 」
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2007/02/05 Vista登場を機に一部改訂
コメント
ブログを拝見して悟りました。
PCって、OSを含めたソフトにおまとしてハードが付くんですね。
リサイクル品のパーティションを変更して、新品製造時の添付CD-ROMでリカバリーしたら、OSの不正使用のエラーが出て正しくバージョンアップできないまま使っています。リサイクル前のCD-ROMがライセンス上は不正使用と判定されたのでしょう。
PCってOSを含めたソフト次第で便利になる、ただの入れ物と思ってたのが、コペルニクス的転回をしました。20年以上前からソフトで便利になる機械として売っていたと思っていたのだけど。
心配なのは、正しくバージョンアップをしないPCが増加しセキュリティーを脅かすことです。
びっくりしますからね。ネットにつなぐだけでIDがばれるし、不正使用だといわれるし、それでもこわごわネットにつなぐし。MS似のフィッシングの一種かと疑ったり。SPをアンインストールしたり。
ともかく、詳しい解説がとても有意義でした。
「DSP版の登場」部分は事実と違うので訂正をお願いしたいです。
OEM版が条件付きで市販されだしたのはWin95OSR2から。
今のようにSP適用版パッケージが発売されることはなかったし、
インターネットも普及してなかったから、OSR2へのアップデート手段もなかった。
つまり、Win95OSR2はメーカー用OEMしかなかったため、
自作ユーザーは入手できなかったんだが、
OSR2は大幅改良されていて、AGP、USB、バスマスターなど
新機能対応満載だった。
AGPとバスマスターは製造メーカーからドライバー提供されてなんとか使えるんだが、
USBはWin95OSR2がないことには、どうしようもなかった。
つまり、USB機能が新搭載されたマザーボードを買っても使えないわけ。
これには、売る方も買う方も怒り心頭ってことになる。
日本でも、USBが使えることを強調したCMを東芝とかが流してたし。
それで米国のショップとユーザーが猛抗議したため、
MSもやむなく条件付きで発売せざるを得なくなり、
それが現在も続いているだけ。
当然発売時はOEM版としか呼ばれてなかったです。
それに、いまでもDSP版なんてパッケージには書いてないです。
シールにもOEMとしか書かれてないです。