「Windows好き」「タッチパネルパソコン愛用歴10年」の者として、タブレットPC機能をウリにしたというWindows 8 Customer Preview版を早速インストールしてみた。
数日間、必要なソフトを適宜インストールしながら使っていたが、試用を断念することになった。結論から言う仮想ソフトVirtualPC2007が使えず、かつWindows 8 Customer Previewに搭載されているHyper-Vが、一見VirtualPCに代わるソフトになるように見えながら、「私にとっては」全く使い物にならなかったからである。
【仮想OSの便利さ】
VirtualPCというのはWindowsOS上で別なWindowsOSを実行するためのソフトである。すなわちWindowsOSではいろいろなアプリケーションをウィンドウ(窓)という形で起動することが出来るわけだが仮想PCというのはこのウィンドウ(窓)の一つとして別なWindowsOSを、いわば「子OS」(一般にはゲストOS)とでもいう形で起動することが出来る。そしてその子OSの中に一般のアプリケーションをインストールし、実行することが出来る。仮想OSの便利さとしては以下のようなものがある。
- ゲストOSとして古いOSを入れておくと、そこに古いOSにしか対応していないアプリケーションをインストール、実行できる。
- ゲストOSのデータは仮想HDDと呼ばれるファイルになる。ゲストOSへのアプリケーションのインストールはこのファイルという形で保存され、基本的にホストOSに依存しない。だからホストOSをリカバリしてもゲストOSにインストールしたアプリケーションは再インストールする必要がない。
まずうまくいかなかったのはWindows7で使っていたVirtual PC 2007 SP1がインストール出来なかったことだ。インストールしようとすると
「このプログラムには互換性の問題があります。」
という「プログラム互換性アシスタント」の表示が出て進めない。プロパティの互換性タブで「Windows7」や「Windows Vista」を指定してもインストール出来なかった。
ボタンで表示される先のWebは開けない。CustomerPreview版ということがあるのだろう。
実はWindows7で「Windows Virtual PC」という「Microsoft Virtual PC 2007 SP1」よりも新しいバージョンが出ているのだが、WindowsXPより前すなわちWindowsMeやWindows98をゲストOSとしてサポートしなくなったため、敢えて私は「Microsoft Virtual PC 2007 SP1」を使っている。
Windows8CP版は64bitを使っているので無論「Microsoft Virtual PC 2007 SP1」も64bit版をインストールしようとしたが受け付けられなかった。この時点で非常に痛い。
【後継?のHyper-Vを使ってみたが...】
それでも「Microsoft Virtual PC 2007 SP1」は諦めても、その後継と言える「Hyper-V」を試みた。「Hyper-V」ではVirtualPCの最新版である「Windows Virtual PC」と同様、XPより前のOSをサポートしないがここは目をつぶろうと思った。別途書くように私にはVMWare Workstationという別の仮想PCソフトもあり、XPより前のソフトはそちらで対応しようと考えたからである。
Virtual PCとHyper-Vは同じMicrosoftの仮想PCアプリケーションだけあって一応互換性がある。ただしそのままでは使えないので、それらの移行については以下のサイトなどが参考になる。
・Hyper-Vの仮想マシンを作成する - @IT
・Virtual PC の VMC を Hyper-V に移行する ? re-Think things
ttp://mist.clueup.org/blogs/1/archive/2008/11/03/from-Virtual-PC-to-Hyper-V.aspx
↑最確認するとあまり関係なかった )
一番シンプルな移行方法としてはもとのVirtualPCで「バーチャルマシン追加機能」を削除し(これをしないとHyper-Vでブルースクリーンになるらしい)そして改めてHyper-Vで仮想マシンを作り、そのHDDとしてVirtualPCのVHDファイルを指定するものだ。
認証ライセンスに引っかかり、再アクティベーションを求められたり、ネットワークへの接続に難儀したり、デバイスドライバが見つからなかったりしたがなんとかHyper-Vで以前のVirtualPCのゲストOSを起動することが出来た。
が。すぐに音が出ないことに気がつく。そして調べてHyper-Vではサウンドデバイスをサポートしていないことを知る。オーディオデバイスが使えないのだ。ゲストOS上では一見、オーディオデバイスドライバが問題なく動いているように見えるが、実際には音がでない。
なんじゃそりゃ~。
もともと仮想PCの発想はゲームなどのマルチメディア的なアプリケーションよりもビジネスアプリケーションを想定していたものだったらしい。それがさらに仮想サーバーであるHyper-Vでは尚更で、そこではマルチメディアアプリへの配慮なんて「全く」無かったらしい。
【Windows8自体を使う気が失せてきた】
正直言って「これからMicrosoftは....」と小一時間問い詰めたいところなのだが、まあMicrosoftは私のような客はビジネスの対象となっていないだろうから問い詰めても無駄だろう。ともあれ私は
「Hyper-Vなんて二度と使うもんか!」
と叫んで、Windows8CP版の導入は頓挫したのであった。
私がWindowsを好むのは後方互換性(上位互換性)が高く、以前のソフトウェアを大事に使い続けるのが出来ることにある。それでもさすがにWindows98時代のソフトを使うことはWindows7では困難になっており(使えるものもある)その解決の一つが仮想PCだというのに、その使い勝手が十分でないというのは私にとっては致命傷なのである。
今年、Windows8を購入する(個人的)予算まで確保していたのに、見送る可能性が高くなってきて残念だ。