私がすっかり御贔屓(これに関しては以前のブログ記事参照)の細田守監督アニメ「時をかける少女」は昨年夏の映画だが、そのDVDがいよいよ2007/4/20に発売される。時かけ公式ブログではすでにDVD-BOX完成品が紹介され、後は発売を待つばかりであることが分かる。
細田守監「時をかける少女」は大々的に全国の映画館で上映されたとは言い難く、そのために興行収入としては「たった」数億円で、興行収入で見れば2006年日本映画の上位30位にも入っていない。(PDF資料はこちら。その一覧に「時かけ」は「ない」のである。)
一方で興行収入トップはジブリの駄作「ゲド戦記」である。
#私も映画館に足を運んで
#それに貢献してしまった一人だが。
[映画の優劣は興行収入に関係なし!]
それを考えると「ゲド戦記」に比べれば、実際に映画館に足を運んで細田守監督の「時をかけう少女」を観ることが出来た人々は微々たるものなのだということが分かるだろう。
実際、私のブログ記事
[映画] 「ゲド戦記」はやめて、細田守監督「時をかける少女」を見に行こう
を読んで下さった方が子供さんと観に行ったところ、上映していなかったという(;_;)。
そう、「ちょっとでも名を知られたアニメ映画なら、映画館がいくつかあるような都市でならば上映しているところがあって当然」だと思うだろう。
しかし「時かけ」は全くそんな風には上映されておらず、上映している映画館を見つけて、それがある都市へ向かわなければならないくらい、あちこちでは上映していなかったのである。
映画に人が多くはいるか、具体的には興行収入十数億円のレベルの映画において人が多く入るか否かは、「評判」などが第一要因ではなく、「宣伝をどのように行ったか」「宣伝にお金をかけることが出来たか」で大枠が決まってしまうことがこれで分かるだろう。
評判などでは早々に変わる物ではないのだ。
そして興行収入が他の映画に張り合えるレベルではなかったからといって「時をかける少女」がそれだけ十分な作品ではなかった、などとは言えるわけがない。
皆さんは知っているだろうか?
今では一世を風靡して日本のアニメの代表となっている宮崎駿氏のアニメ映画であるが、「となりのトトロ」(すなわち「ルパン三世 – カリオストロの城」や「風の谷のナウシカ」や「天空の城ラピュタ」)までの作品の興行収入は黒字赤字トントンと言った危ういもので、特に「となりのトトロ」は興行的には散々でその後のグッズ販売などでようやく黒字になったのだ。
「良い映画が観客を多く動員できるとは限らない。観客を動員した映画が良い映画だとは限らない。」
これは20年前も今も変わらない。
ともあれ「時かけ」も、DVD販売と同時にレンタルも開始されるから、これを機会に是非とも多くの人に細田守監督アニメ「時をかける少女」を見てほしいものだ。
[『時をかける少女』のサウンドトラック]
アニメーションで音楽を上手く利用することが大切だというのは自分のサイト「GunslingerGirl私的紹介」でも言及しているが、とにもかくにも、私が聞く音楽はアニメを中心とするサウンドトラックが多い。
どうも想像力がないようで、映像が伴わない音楽は物足りないらしいのだ(笑)。
だから『時をかける少女』も当然サントラ「時をかける少女 オリジナル・サウンドトラック」を買ったし、その音楽が良かったからこそ「時かけ」映画自体も2回目を観に映画館に行ったのだ。
(そういえば未だに多くの人にとっては「時をかける少女」といえば原田知世出演の実写映画だと思うのだけれども、その映画についても、その主題歌が口ずさめる人は多いに違いない。これを見ても、アニメに限らず映画一般にとって音楽というのは非常に大事なものであることが分かるだろう。)
で、それはそれとしてアニメ『時をかける少女』では奥華子という人の歌が挿入歌とエンディングに使われていた。
しかもエンディングは「時をかける少女」の為に奥華子女史自身が細田監督の絵コンテを見て作ったものという。
私の場合には音楽を楽しむのは「気に入ったアニメで使われたこその音楽」という部分があるので、必ずしも挿入歌の歌い手に関心が向くとは限らない。
いや、というかふつうは関心を向けない。
実際、私が「ハマった」宮崎駿作品ではあるが、「魔女の宅急便」にはユーミンこと松任谷由美子の歌が、「紅の豚」には加藤時子の歌が出てきたが、私が彼女らのアルバムを買うことはついぞなかった。
だから、挿入歌や主題歌の人のアルバムを別途買うというのは今までのほとんどなかったのだけど、今回については奥華子さんの一番目のアルバム「やさしい花の咲く場所」と最近出た二番目のアルバム「TIME NOTE(初回限定盤)(DVD付)」を買ってみた。
[奥華子さんのアルバムを買った理由]
なぜ買ってしまったか?
まず一つには一緒に時かけを観た友人が「やさしい花の咲く場所」を買って、良かったと言っていたこと。
しかしこの情報だけでは私は買わなかったに違いない。
最終的になぜ買ったかというと、セカンドアルバム「TIME NOTE(初回限定盤)(DVD付)」には特典として「時かけ」の宣伝DVDがついていたからである。それはそのセカンドアルバムに「時かけ」で使われた挿入歌と主題歌が入っているからである。
これが映画自体のDVDが出るまでの一ヶ月前であり、DVDを渇望している私としてはこれでせいぜい我慢しようと言うわけであった。
で、それを買ったところ、そのお店で奥華子さんの他のCD(旧譜)を買うと「クリアファイル」が貰えることを耳に挟んだ。それに釣られてファーストアルバム「やさしい花の咲く場所」も買ったのだが....
私は馬鹿なことに「時をかける少女」のクリアファイルが貰えるかと思ってしまった!でも実際には(当然ではあるが)奥華子さんのクリアファイルだった....
ケチな私は帰り道、ファーストアルバムにも3000円ほどを出したことにいたく後悔したのだが...
[最初の感想「うへ~、恋歌が多い...」]
で、さらっと聞いた最初の感想は
「恋の歌が多いなあ!っつーか、ほとんど全部?(汗)」
というものだった。
私は今まで恋愛事に興味を持たなかったので、そういう音楽は苦手な方だ。
#まあ「時かけ」も恋愛がらみの話ではあるが。
私が多くの一般的なPOPミュージックを聴かないのはそのことも理由の一つにある。すなわち巷には恋愛の歌があまりに多すぎる!
アーティストの中で唯一、私が未だに聞いている歌手は遊佐未森さんだが彼女の歌が好きな理由の一つに恋愛の曲(あるいはそう感じられる曲)の比率が高くないことにある。それは特に初期のアルバムではそれが顕著なことであった。
実はこれに関してはなかなか難しい裏話があって、プロデューサーの意向で遊佐さんが中性的なイメージで大々的に宣伝され、それがそれなりにヒットしたものの、でも本人は実は必ずしもそれでは満足していなくて...みたいなことがうじゃうじゃあったらしいのだが、ともかく彼女の歌の中には恋愛とは無関係な曲が非常に多い。
それが私が遊佐さんの曲を未だに好きで、ぼっちらぼっちらアルバムを買い続けている理由であったりするらしい。
(ちなみに遊佐未森については以前、かなり中途半端なブログ記事を書いたこともある。)
ところが今回買った奥華子さんのアルバムの中の歌は2枚、ほとんど全部が何かしら男女の恋愛事が絡むようなのだ。別に悪かないし、まあ世の中一般のポップミュージックを反映しているわけで、おかしいことでもないんだろうが20曲以上、丸々そうなるもんかねえ、という感じがしたのが1,2日。
[ところが意外に...]
しかし何日か聞いているうちに、恋歌は恋歌でも、本当にいろいろなバリエーションがあって、また歌詞のことはおいといて、リズム的になかなか良い曲がポコポコ見つかるようになった。
一般的な話、特定のアーティストのアルバムって大抵十数曲入っているが、その中で繰り返し聞きたいと感じるのは数曲であることが多い。というか、3、4曲あれば十分で、もしたとえ1曲しかなくても、それがとことん惚れちゃう程の曲であれば、その一曲で3000円を払って満足、と思うしかあるまい、という結構アレな状況である。
私よりは遙かに幅広く音楽を聞く姉もそんなことを言っていたので、多くの人もそんなもんなのではなかろうか。
で、大抵そういう「あ、これ良いな」って曲は最初何回か聴くだけで分かるもので、前述のように最初に聞いた段階で上のように「うへ~」と思った場合にはかなり危険な場合、すなわち結局お気に入りの曲が見つからない、ということもままあるものだ。
とことが今回はそうではなく、次第に結構気に入るようになった。
[奥華子さんの曲の中で気に入ったもの]
まず笑ってしまったのがファーストアルバム『やさしい花の咲く場所』の中の「帰っておいで」。これって今、ちゃんと歌詞を全部見ると全然恋愛歌じゃない。むしろ母親が「頑張る」息子や娘に遠くから投げるような歌だ。すぐそれに気がつくようになり、その詩と曲が気に入った。
次に「きみの空」。なんかこの歌は気に入ったというのも本当は憚られ、というのもこれは死別の歌だからだ。
私の場合、歌の歌詞なんて聞いてても、きちんと耳に入れて理解している訳じゃ全然ないし、歌詞カードもほとんどみない。すなわち耳から適当に入ってくるのをそのままフィーリングで消化している。だから歌詞の内容への理解はテキトーで、ずいぶん経ってからその意味に気がつく、というのも一般的にありがちだ。
だから私なんてその内容に気がつかなくてもおかしくなかったのだが、何回目かに「いつものように 君は眠っているのに 触れた手が 冷たかった」という部分になんかぎょっとし、そのままじっくり繰り返し聞いていたら明らかに親しい人を亡くした歌であることに気がつく。非常に悲しい内容の歌なのだが、そこで歌われる悲しみがなんだか非常に理解できて、思わず自分のことのように共感してしまい、涙が誘われる。こういう歌をいちいち解説するのは興ざめなのでこれくらいにする。
[「春風」と新海誠氏アニメ「秒速5センチメートル」]
さて、実は私が注目するアニメ作家に新海誠という人がおり、その新作品「秒速5センチメートル」という短編映画3部作の公開がされている。それについてはまた別途書きたいと思うが、あんまりその作品は好きになれなかったのだが、挿入歌はかなり気に入った。映画を見た後、その挿入歌はサントラを買ったわけでもないのに頭の中でリピートしていた。「あの歌は良かったよな~」と思っていた。
で、数日後までもそういう状況だったのだが、なんかふと気がつくと、その映画の挿入歌と思っていたものが奥華子さんの「春風」にとって変わられちゃってた!(爆)
すなわち新開誠「秒速5センチメートル」の曲と思っていたものが奥華子さんの「春風」になってしまったいたのだ(^^;)。あとでよくよく聞くと、「秒速5センチメートル」で仮に挿入歌として使われても全然おかしくない歌詞内容ではないか!
なんという奇遇なことだろう!
もちろん「秒速5センチメートル」では奥華子「春風」は使われておらず、使われているのは山崎まさよし氏の「One More time」という曲である。
[まあ他には...]
そのほか、たとえば軽快な感じの「リップクリーム」なども気に入った。以上挙げた4曲はすべてファーストアルバム「やさしい花の咲く場所」のものであり、私としては恐らく今後長く聞くことになる可能性のある「チョーお気に入り!」の分類に入る曲である。
特に強く気に入った作品はセカンドアルバムよりそっちにあった感じである。ということで、ファーストアルバムを買った意義があると感じることが出来た。
「セカンドアルバム」の方にはアニメ「時をかける少女」で使われた曲が2曲が入っており、私にとっては「チョーお気に入り!」に入ることは言うまでもない(...でもないか。とにかくチョーお気に入りだ)。他にもその分類に入れて良いような曲や、そこまででなくても「お気に入り」の曲があった。
そんな感じで、CD2枚で優に5000円は超えてしまったものだったけど、良い買い物であったと思う。
ただ、今後も奥華子さんのアルバムを買うかは分からない。遊佐未森さんの曲ですら、十数年をかけてアルバムを少しずつ買い進めているので、私がアルバムを全部追いかけるようなアーティストはなかなか見つからないに違いない。
(内容的につづきのような記事は....
2009年01月の記事
「アニメ『みなみけ』DVDの茅原実里さんの歌声が良い!/茅原実里の歌(1)」
へどうぞ)
コメント
お久しぶりです。
先日は、いろいろとお世話になりました。
有難うございます。
やっと、コメントを残す方法が判りました。ここに、こうして書き込めばいいのですね?
アニメのこと、物凄くよくご存知ですね。
私も、アニメは見ますが、
知らないことが多い世界でした。
コメント有り難うございます。私のブログ記事はパソコン関係が多く、我ながら少々それにウンザリしています。それでもなぜパソコン関係を多く書いてしまうかといえば、アクセスログなどを見るとやはりパソコン関係の話題の方が各記事とも訪問者が多いので、作り甲斐としてはそれなりにあるからです。
今回皆様の反応は期待せずに、久しぶりにアニメ関連に関して書いたところ、早速コメントを頂けましてとても有り難かったです。(つづく)
(つづき)もっとも「物凄くご存知」と書いてくださっていますが、私のアニメ遍歴(ハマった経歴?)は主に「宮崎駿作品→アートアニメ全体→庵野作品(というかナディアとエヴァ)→で、その他」という感じで、大量生産される現在のジャパニメーションの中のほんの一部にしか過ぎず、その点ではお恥ずかしい限りです。ただ「ハマる」まで好きになると、それなりにいっぱしの見識があるかのような文章は書けてしまうものですね(笑)
まあ見識と言えるまでの内容かはともかく、こんな感じで「他の人にもこの作品を知って欲しい!」という感じのネタはコミックやアニメの中でそれなりに結構あるのですが、なかなか書く機会やエネルギーが高まりません。今後、ぼちぼち書いていきたいと思います。
今回のコメント、とても嬉しかったので、稚拙な草稿の段階ではありますが、本記事の中でも触れている新海誠作品についての2記事を緊急(?)でアップいたしました。ヤル気の素を入れて頂き、感謝しております。