未来を予測することはなかなか難しい。株式なんて、基本は上がるか下がるしかなく、どちらかが「確実に」分かるならば即、大金持ちになれるというのに、実際には確実な予測は困難であり、そういうことが出来ると主張する輩は詐欺師だと思った方が良い。
本記事の話題はウイルス感染症流行の予測についてである。近年起こった「世界的な事件」といえば、間違いなく2019年より起こった「新型コロナウイルス感染症」流行(パンデミック)COVID-19が挙げられよう。その登場により、以前から毎年流行していたインフルエンザウイルス流行は一旦壊滅したかのように見えた。だが、コロナウイルスが収束した2024年末、インフルエンザが再び2018年以前と同様な流行の兆しの兆候を見せている。未来は予測できるのか?
[推敲度 5/10]
1■コロナが流行った時、インフルは壊滅!?何故!?
病気が流行って世界に蔓延する。所謂「疫病」だ。かつて歴史が好きで、歴史の本を散々読んできた自分からすればその言葉は散々目にしてきたものであったが、やはりどこかで過去のものというイメージが拭えなかったが、今回のCOVID-19で、疫病というもの、世の中の混乱をまざまざと見せつけられた思いがした。
疫病に対する人類の悲喜交交(ひきこもごも)は不可解なこととは思われなかったが、不思議なことも起こった。世界で毎年のように流行ってきたインフルエンザウイルス感染症、それがコロナウイルスが流行り始めてからピタッと止まってしまったのだ。
それらについて当時、2つの説が流れていたのを覚えている。
(1)コロナ感染症で、マスク、手洗い、うがい、消毒などが励行され、徹底された。その結果、たかがインフルエンザウイルスのレベルは駆逐されてしまった。
(2)インフルもコロナも人間に広まるウイルス感染症という点では同じ領域?に属する。ある一つのウイルス感染症が大きく広がった場合、別なウイルス感染症はいわば争いに負けて広がれないという現象が起こり得る。(「ウイルス干渉」という説らしい。)
当時は両者の説ともそれなりにありそうに思えた。
2■2019年度以降、インフルエンザウイルスの流行はどうなったか?
では改めてコロナウイルス感染症流行後(COVID-19)のインフルエンザ流行がどうなったのかを見ていこう。
自分は「東京都感染症情報センター」の「インフルエンザの流行状況」の情報をコロナウイルスの流行る前から随分長く利用している。
コロナウイルスが流行る前のグラフすなわち2014-2018年のグラフ(下記引用)を見ると、例年11月12月に流行が立ち上がり、年末年始の人の移動で若干落ち、そして1月に本格流行に入る、というのが例年であった。しかも2016年、2017年、2018年と段々と1月~2月の流行が大きくなっている。
ただしこれは医療機関への患者の訪問数データであるから、世間での流行りの大きさと厳密に比例するとは限らない。すなわちデータでは一番の山が2016年、2017年、2018年にだんだんと増えているが実際には感染者数は似たようなものだが、医療機関で診察を受ける人が増えただけかもしれない。
ともあれ、それがコロナ流行中の2019年~2023年はインフルエンザウイルス感染症の流行はどうなったか?
2019年(オレンジ色) 11月、12月に例年通りの流行の兆しを見せたが1月に収束。コロナの影響だと考えられている。
2020年(ピンク) 一切流行せず
2021年(緑) 一切流行せず
2022年(青) 1月~3月にかけて若干流行(定点報告最大10人程度/地点、2018比較6分の1)
2023年(赤) 夏から若干の流行で3月まで続くというイレギュラー(定点報告最大20人程度/地点、2018比較3分の1)
2021年と2022年に、インフルエンザウイルスが全く流行しなかったのは実に驚愕すべきことだった。毎年の冬、日本を悩ませてきた疾病、インフルエンザの流行が壊滅したのである。
だが言うまでもなく、日本も、世界も、それに喜んでいる余裕はなかった。インフルエンザよりも厄介とされたコロナウイルス感染症で頭を悩ませていたからだ。
そして世界的にはコロナウイルスパンデミックが落ち着き始めた2022年より、インフルエンザウイルスの流行は再開、しかしコロナ前に比べて最大でも1/6ほどであった。また次の2023年には夏過ぎから流行り始めるという、新型インフルエンザが流行った2009年以降はなかった状況が発生する。
未来の予測するのに数値データが多く使われる。だがその数値も使う人により、白と捉える場合もあれば黒と捉える場合もある。けれども上のデータからは以下のことが読み取れるのは間違いないのではなかろうか。
- インフルエンザの毎年の流行はコロナウイルスの流行の影響を受けて、2年間(2020年、2021年)は壊滅したこと。
- コロナの収束により再び流行の兆しを見せ始めているが2023年までは不順な流行り方だったこと。
3■2024年、インフルエンザ流行は帰ってきた
そして2024年11月、12月。
このグラフの立ち上がりは!?そう、コロナが流行る直前だった2019年までのような流行の立ち上がりが、再びやってきたのだ。このグラフで注意せねばならぬのは、2024年の今年11~12月は2019年とそっくりなカーブ(立ち上がり)であり、2019年の流行の最長点に近づいているように見えるが、2019年度はコロナによりインフルエンザ流行が1月に失速した年度であって2019年はその前の2018年のようなインフルエンザ大流行は起こっていない。その状況は2015~2019年のグラフを見ると良く分かる。
それまでの年が1月以降にこそ本格的な大流行が来ているのだが、2019年は12月の流行だけで、1月には失速している(おそらくコロナウイルスの流行が関連しているとされる)。
今年2024年今年の11月12月の流行のカーブは失速した2019年というよりも、2018年以前の、毎年インフルエンザが大流行したカーブに乗っていると言えよう。すなわち2024年は2018年以前ぶりに、その時のような「定点報告最大60人程度/地点」の流行まで達すると予想できるのではないだろうか。
4■インフルエンザワクチン
自分は一応「エッセンシャルワーカー」に属するような勤務についていることもあって、コロナ前はインフルエンザ予防接種(ワクチン)を受けるようにしていたし、コロナウイルス流行後はコロナウイルスワクチンを真面目に受け、通算5回も受けた(2回目以降は毎回副作用、副反応の発熱が出た)。だがコロナ後のインフルエンザについては上のような状況から以前のような本格流行とは違うと思えたこともあり、ワクチン接種は見送っていた。
しかし2024年12月、上のようなデータを見て、状況は変わったと判断した。実際、コロナウイルスもほぼ収束したと言える状態でインフルエンザ完全復活でもおかしくない。
「これは予測できる未来なのではないか」
そう考えて、馴染のクリニックにインフルエンザワクチンの接種の予約をした。ちなみにコロナ前はインフルエンザワクチンを毎年のように接種していたが、それでも2回ほどインフルエンザに罹っている。
5■終わりに
未来を予測するのは大変難しい。上記のようなデータを見て、自分は2024年はコロナウイルス流行(COVID-19)前のようなインフルエンザの流行り方をきっとする!と半ば確信してワクチン接種をすることにしたが、本当のところは春までみないと分からない。そもそも2024年12月現在もコロナウイルス感染症(COVID-19)は完全に収束しているわけではないようなので、インフルエンザウイルス感染症の流行り方も最終的には異なる可能性がある。
未来を予測することは難しいのではない。未来を予測することなどは出来ないのだ。