前述のように、私は1999年に発売されたBIBLO MC/30を何台も購入して愛機として使い続けているのだけど「それだけ使い込んでいるのなら新しい機種を買えばいいのに」と思われる方もいるかもしれない。
ところが私が古い機種を使っているのは必ずしもケチっているからだけではない。すなわち私が求めるようなモバイルノートで新しい機種がこの世に存在しない、ということも原因にあるのだ。
[腐るほどあるノートパソコンだが...]
電子立国になった日本には世界に名だたるパソコンメーカが立ち並び、季節毎に新しいパソコンが出るのが恒例になっている。というか、仕様としてはほとんど変わらない製品が「後継」として季節毎に出るのが現状だ。
ところが全てのパソコンで「後継機種」が出ているとは限らない。
私の愛用しているパソコンは「モバイルノートパソコン」と言われる「携帯性」を強く意識した機種で、ノートパソコンの中では主流ではなく、その結果、常に新しい製品が出ているというわけではない。
とりわけ私の愛機の特徴は一言で言えば
「A5ファイルサイズのタッチパネル機能搭載のモバイルノート」
ということになるのだが、このような機種は実に特殊な部類に入る。というか「A5ファイルサイズ」という大きさのノートパソコン自体が2000年以降、珍しいものになってしまっている。このことについては
「消えたノートパソコンA5ファイルサイズ」
http://dennou.stakasaki.net/xiedai01_A5File-j.html#2000_A5
で、書いているが、しかも実際のところ、A5ファイルサイズパソコンにタッチパネル機能をつけているのは富士通が作っていたパソコンだけで行われていたことであった。
その富士通が私の愛機BIBLO MC/30を1999年に出して以後、この後継機種を断ってしまった。一応同シリーズのBIBLO MCシリーズは継続していたのだが、MC/30の次のMC2/40からは、それはA5ファイルパソコンよりも一回り大きいB5サイズになってしまったのである。
すなわち2004年までは、1999年に出たBIBLO MC/30が「最後のA5ファイルサイズタッチパネルパソコン」であったのである。
[A5ファイルサイズタッチパネルパソコンの復権]
細かい話をすれば例外はあるにせよ、基本的にはA5ファイルサイズタッチパネルパソコンが復活したのは2004年のFlybookの登場によってであった。これは台湾製のメーカーで、そのクールなデザインなどによりヨーロッパを中心にかなり売れたらしい。ところがこれが日本に入ってくるのは更に遅れて2006年まで待たなければならない。
しかもこのFrybookに対抗するかのように2005年、富士通がA5ファイルサイズタッチパネルパソコンを復活させる。そうして登場したのが
LOOX Pシリーズ
である。
LOOX(ルークス)はもともと、大型化したMCシリーズに代わり、モバイルノートのブランドとして登場したシリーズであり、その中でもワンスピンドルであるA5ファイルサイズの製品は「LOOX Sシリーズ」とされた。だがこのシリーズはBIBLO MC/30までのMCシリーズと異なり、
1・タッチパネル機能がない
2・画面サイズが8.9インチワイド液晶
となっていて、特に私にとっては1の点が致命的であった。
しかしながら2005年にLOOX Pシリーズとしてタッチパネル機能を搭載したシリーズがLOOX Sシリーズの後継として登場する。しかもこのパソコンは他のノートパソコンと同様に季節毎に新しい機種が出るようになった。
ところがこれで私が満足したかというと...
[理想のモバイルノート10カ条]
満足どころが私は全くこのLOOX Pシリーズには惹かれなかったのである。
というのもこのLOOX PシリーズはBIBLO MC/30の後継機種とは全く言えないほど「A5ファイルサイズ」「タッチパネル」の2点以外についてはBIBLO MC/30の特徴を引き継いでいなかったからだ。
私がBIBLO MC/30の後継機種とみなせるのは以下の10カ条のポイントを満たすものだと考えるようになっていた。
- インターフェースはタッチパネル仕様。
- 画面は標準型の8.4インチ液晶よりも大きいこと(すなわち8.4インチワイド液晶だと縦が小さくなるので望ましくない。理想は多分9インチ標準型?)
- パソコンの幅は23cm以下。
- 解像度はXGA(1024*768)以上。
- ハードディスクは換装が用意で柔軟な2.5インチHDD
- 重さは1.2kg以内。
- バッテリーの持ちは4時間以上。
- 無線LAN、Bluetooth内蔵。
- スロットはCardbus対応PCカード。(今後は後継のExpressCardも?)
- モノラルではなくステレオスピーカー
4・解像度がSVGA(800*600)しかない
8・無線LANもBluetoothも内蔵されていない
の2点だけだ。
これ以外にもBIBLO MC/30が現在の標準的なパソコンに劣っている点は
・有線LANも内蔵していない
・USBが1.1で2.0ではない。
の2点があるのだけど、まあそれはとりあえず置いておく。
[10カ条にはほど遠い現行機種]
では2004年以後に出た「A5ファイルサイズタッチパネルパソコン」の10カ条装備はどうなっているのであろうか?
実は富士通が6年ぶりに復活させた「A5ファイルサイズタッチパネル」モデルのLOOX P70Rは2、4、5、8、9、10すなわち6条件も満たしていないのだ。
満たしていない点をBIBLO MC/30と比較しながら述べていけば
●LOOX P70
2・8.9ワイド液晶であるがこれはMC30より縦が狭い。
4・解像度1024*600は現在ノートパソコン標準であるXGA(1024*768)を満たしておらず、縦の解像度600ピクセルはMC30と同じ。新機種の意味があまりない。
5・HDD規格が1.9インチなので換装にコストがかかる上、最大量のHDDにできない。たとえば2.5インチHDDは現在100GBが普及し始めており、MC30でもそれが使えるのに1.9インチで同等のコストの場合60GBしか使えない。
8・内蔵の無線LANがあるのはMC30にない点だがBluetoothがないのは同じ。
9・周辺機器のインターフェースとして普及しているPCカードスロットを装備せず。MC30より使えない。代わりに装備しているCFスロットは対応する周辺機器がまだ多くない。
10・スピーカーがモノラルでMC30より貧相である。
以上のようにMC30よりも上位のパソコンとは言えないのみならず、MC30に劣る点すら多いのだ。
2006年9月にLOOX Pの新機種LOOX P 70Tが発売され、満たしていない条件は2、5、10だけになった。これでようやく私としては食指が動くようになったが、しかしBIBLO30が満たしていないのが2条件であることを考えたとき、20万以上もの費用で新たにLOOX Pを買う価値があるかどうかを考えると難しい。
一方で、Frybookは条件2、4を満たしていないだけである。
●Flybook
2・8.9ワイド液晶であるがこれはMC30より縦が狭い。
4・解像度1024*600は現在ノートパソコンで標準のXGAを満たしておらず、縦の解像度600ピクセルはMC30と同じ。新機種の意味があまりない。
ただしFlybookは実質発売価格30万と言うことで敷居が高い。
ともあれ、以上を見ても分かるように、MC30以降に発売された「A5ファイルサイズタッチパネルパソコン」はMC30に比べて必ずしも全ての点で優れているとは言い難いのが現状で、果たして20~30万もかけて買う価値があるのか疑問に思ってしまう。
[嗚呼、望むモバイルノートが出るのはいつなのやら...]
そんなこんなで、私は1999年発売のBIBLO MC/30(6300MC/4W)を使い続けるわけである。
(理想のモバイルノート十か条再掲につづく)
コメント
ちょうど良い大きさのノートですね。
私もほしい!!(^^)