あなたに宣伝・広告したいこと(あるいは「もの」)が出来たとします。それをインターネット上で行おうとした時、あなたはインターネット上で宣伝・広告行為をするというのがどのようなことか、十分に理解しておられるでしょうか?
インターネット上で安易に宣伝、広告をする行為は、大多数のインターネットユーザに嫌悪され、激しく憎悪されています。
悪意があったにせよないにせよ、あなたが無差別にインターネット上での宣伝行為を行った場合、罵詈雑言の言葉を散々に浴びせられるのみならず、インターネットでの生命を(名誉的に)断たれる可能性すら存在するのです。
[広告行為によりインターネットから追い出される?]
たとえばWeb上のどこかの掲示板(BBS)であなたがその安易に宣伝行為を行った場合、その後はその掲示板に投稿できなくなったり、閲覧でさえ出来なくなる可能性が十分にありますし、そのような宣伝行為を行った苦情があなたの入っているプロバイダーに行われ、プロバイダーからあなたが警告を受ける可能性があります。
あるいはもしあなたがmixiのどこかのコミュニティ、特に複数のコミュニティで宣伝行為を行った場合には、あなたはmixi事務所からmixiを追い出されてしまう可能性も十分にあります。
あなたがインターネットの経験が浅いならば、なぜ『たかが』宣伝行為で上のようなことになるのか、理解できず、戸惑われたり、あるいは反発を感じられるかもしれません。
この記事はそんな方のために、どうしてネット上での宣伝・広告行為がそこまで憎まれているのか、解説するための記事です。
[なぜ私がこれを書くか?]
あなたは私・高崎がなぜこれを書くのか、疑問に思われるかも知れません。その理由は私が「迷惑メール」問題を扱うサイトを2001年以降作ってきて、多くの人よりもこの問題すなわち「ネット上の迷惑宣伝、迷惑広告」の問題(の一部)にかなり拘わってきたからです。
[「spam」「迷惑メール」をあなたは知っていますか?]
あなたは「spam」「スパム」「迷惑メール」などの言葉を聞いたことがありませんか?もし聞いたことがあったら、それがどんなものか十分に理解しているでしょうか?
もしかすると「迷惑メール」や「スパムメール」を「携帯電話に届く、出会い系サイト、アダルトサイトなどの宣伝メール」なんて考えていませんか?
私の考えからすると端的に言えば
「インターネット上で無差別に行われる宣伝、広告行為がspam(スパム)」
と考えています。あなたがインターネット上でなんらかの宣伝をしたい、そう思った時点であなたにはspam行為をする危険性が始まっているのです。
[インターネット上での広告・宣伝行為の歴史~それは『spam』の歴史]
「ネット上の宣伝・広告行為の問題性」を十分に理解するにはインターネットでの広告・宣伝の歴史を簡単に知る必要があります。
現在、インターネットの中身といえば「電子メール」と「Webサイト(ホームページ)」であることは、多くの人が認めるところでしょう。けれどもインターネットが始まった当初はこれが「電子メール」「ニュースグループ」でした。
そしてspamはこの両者で広がりました。
[電子メールのspam所謂「迷惑メール」の場合]
電子メールに特化して、なぜそれを用いた「不特定多数への広告、宣伝行為」が問題となるのか、その理由については私が作っている迷惑メール(迷惑広告メール)問題を扱った
「迷惑メール撲滅私的調査会」
というサイトの中の中の「問題啓発頁案内 」で紹介しているページを是非読んで下さい。特に
難しい言葉では書いていませんので、きっと「理解」は出来るでしょう。どうでしょう、あなたは上のページを読んで「納得」出来ましたか?
私が上のページを作った2001年頃には、上の主張に対して反論をする方々が結構いらしたもので、私も各所で激論を戦わせて頂きました(笑)。当時、私は精神的体調が極めてすぐれなかったのですが、理解して貰うために必死になったことは懐かしい思い出です。
[ニュースグループとは?]
さてインターネットの当初、現在のWebサイトに匹敵するほどの存在感であった「ニュースグループ」とはなんでしょうか?
ニュースグループ」は知らない方にはちょっと想像しにくいかもしれません。実質的な内容は現在の掲示板に近い内容ですが、ユーザにとっての大きな特徴としては
- ニュースグループの中では特定の話題(ジャンル)についてどこで行うべきか、あらかじめ決められている。
- その場所は階層構造で整理されており、勝手にユーザが「新たな話し合いの場所」を作ることは出来ない。
- 専用のソフト「ニュースグループリーダー」を用いる。
- 特にユニークな点、あるいは現在の掲示板に決してないものとしては、複数のジャンルに跨る内容の投稿の場合、複数のジャンルに跨って投稿することが出来る(これは「クロスポスト」と呼ばれる)。
それがどんなものかはともかくとして、インターネットが広がり始めたばかりの段階で、電子メールやニュースグループで無差別、不特定多数に宣伝行為を行う輩が登場し、その被害を広げていったのです。
ニュースグループはその後のWebサイト、所謂「ホームページ」の登場と広がりで次第に存在感を失っていきますが、その凋落の際に決定的な役割を果たしたのが「spam」だったとされているのです。
実は現在でもニュースグループというシステムは存在しています。あなたのプロバイダーでもニュースグループへの接続方法を提供している可能性も高いですので、あなたがプロバイダーに入ってたときの通知書などを見てみましょう。電子メールのサーバとともに、ニュースグループのサーバなどが記述されているかもしれません(あるいはホームページに書いてあるかも知れません)。
その場合にはソフトを導入しただけで閲覧できますので、機会があったら覗かれることをお勧めします。
というのも前述の通り、もはやニュースグループは「spam」で埋もれているのです。正常な状況ではないというのが分かるでしょう。
[基本的に無差別広告の問題性はメールとその他では一緒です]
ニュースグループを出したのは「spam」という言葉が当初の段階から「電子メール」に限られたものではなかったということを言いたかった為です。
そしてその問題性は電子メールの場合で書いたようなことと、ほぼ同じ問題性を抱えており、決して許されるべきものではありませんでした。あるいは電子メール以上にspamが広がりやすい下地を持っていました。
[スパムを「続ける」連中は悪意のある者ばかり]
たとえ宣伝や広告の内容がどんなにまともなものであっても「宣伝したい」人たちがネット上での場所をわきまえずに宣伝行為をしていたらきりがありません。そのことは「何故spam(スパム)は悪いことなのか?」」「spam容認論大反対」で書いたとおりですが、そのような中で多くの理性・良識ある大多数の人々はネット上での無差別宣伝を決してしなくなり、また、それがどんなに問題性のあるものか、いろいろな経験を踏まえてよく理解するようになっています。
その結果、結局スパム行為を続けるような人々は、それが迷惑であることを理解しながら宣伝・広告行為を継続している場合が大部分になっています。すなわちこうなるともはや「悪意がある」と言うことが出来るでしょう。
そのようになると、それらの人々がそこまでして宣伝したいものというのが限られていきます。すなわちモラルや体裁をかなぐり捨ててでも、宣伝したいものというのは以下のようなものに限定されていくのです。
- (男性の多くが思わず惹かれてしまう)ポルノ関係、アダルト対象商品・サービス
- 通常の手段では入手しにくい怪しげな品々、すなわちドラッグや違法な品々
- 「金儲けの話がある」と持ちかけて実は最終的にはお金を巻き上げるだけの詐欺(典型的なものとして「ナイジェリアからの手紙」=「419事件」)
- 悩む人々の足下をみて行う貸し金融や健康商品、医薬品の販売
これらは良識ある人々としては広告を見るだけでも眉をひそめる内容であることが多く、しかも破廉恥・厚顔無恥の行為が激しくなっているため、理性ある人々からは「一層spam(無差別な宣伝行為)は嫌われる」という状況になっているのです。spammerに対する極めて強い憎悪の感情はそんなインターネット状況から生まれています。
[単なる不快では済まなくなったspam]
また、電子メールにおけるspam問題の広がりは、もはや単にその問題が「不快だから」という状況を大きく越えるようになっています。毎日何百通とspamメールを受け取っている人々が多くいます(私は毎日500通ほどです)。プロバイダやメールサービス会社は多くのspamメールに大事なネット資源を侵蝕され、人的にも、設備的にも多くの損失を被るようになりました。
現在、一般ユーザにとってのネットセキュリティの問題は「ウイルスとspam」という状況になっています。また、spamはメールだけではなく、掲示板(BBS)、ブログなどでも多くの被害をもたらすようになり、深刻な被害を与え始めています。
私のこのブログも、新作記事を作るとそれに対して数時間で「必ず」トラックバックspamやコメントspamが投稿されます。言うまでもなく、悪意あるspamerは自動ツールで無差別にトラックバックを行っており、これらはトラックバックスパムと呼ばれています。
その結果、spamの問題については各種インターネット関連業者もspammerに対して断固たる対処を取るようになり始めています。ネット業者にとってもspammer対策は極めて深刻になっており、あなたが悪意があったにせよ、なかったにせよ、「知らなかった」という言い訳では済まされない状況になっているのです。
[初心者spammerの存在]
spam問題が起こった当初から、悪意はなかったのに無知な故にspam行為を行ってしまう人々が絶えませんでした。これについて迷惑メールでの現象を重視した私は、自分のサイトの存在意義の一つとして重視し、人々を啓発することに力を入れてきました。
すなわち以下のような内容を作ってきました。
- インターネットメールでダイレクトメールを送ろうとする方々へ!あなたの会社が信用を失う前に!
- どんな広告・宣伝メール配信なら許されるのか? あなたがspammerにならない為に
- あなたは迷惑メールを出そうとしていませんか
- ほら!みんながこんなに問題性を指摘しているんです
上のページについては「役に立った」という声をそれなりにいくつも頂きましたが、恐らくは迷惑メール問題の社会的認知の広がりが一番効果があったのでしょう、「本来ならば良識・理性ある」人々が「うっかり」spam『メール』行為をすることは希になったのです。
[電子メールでは初心者spammerはほぼ出なくなったのですが...]
ところが「初心者スパマーがいなくなった」というは電子メールの場合です。すなわちユーザの間では「迷惑メール」の問題性は意識下にせよ無意識下にせよ、感じている人が多くなっていますが、それをネット上での宣伝・広告行為一般としてまでは考えず、その結果、電子メールでない場所での宣伝・広告行為については「無知からゆえに」spamを行う場合がまだまだ出ているようです。
もうここまでこの記事、あるいはその中で紹介したページを読んで頂けたなら、きっとネット上での安易な無差別広告、無差別宣伝が非常に問題行為であること、そしてそれがなぜそんなに憎まれているか、御理解して頂けるようになっていることでしょう。
(後日補記予定)
コメント
利用を避けていた割には、快調に更新を繰り返されていますね?(^^;)
確かに高崎様のブログへのスパムがひどいですね?
http://stakasaki.at.webry.info/200512/article_2.html
に行われているトラックバックも、明らかなスパムですね。
困ったもんです。