Windows10 Technical Preview版、GPU絡みでブラックアウト現象?

 昨年10月にリリースされたWindows10 Technical Previewであるが、その段階では日本語版は提供されなかった。それが1月下旬リリースされたカーネルバージョン10.0 ビルド9926 において日本語版が出たということで、サブマシンにインストールすることにした。

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Windows10 Technical Preview版はあくまで試験版です。動作が保証されたものではなく、使用期限も2015/04/15までとされているようです。パソコン不具合に対する十分な覚悟と知識がなければ安易に入れるべきものではありません。十分に理解の上、参考にしてください。

【インストール環境】

 インストール先はサブマシンである自作パソコン、構成パーツは以下のとおり。
・Intel Core i5 i5-4690K
・マザーボード:Gigabyte GA-Z97X-UD5H
・メモリ:8GB=4GBx2
・ストレージ:Windows8はSATA接続2.5インチ規格SSDを使っていたがWindows10TP版はM.2 SSDに新規インストール。
・GPU(グラフィック):CPU内蔵すなわちIntel HD Graphics 4600

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【インストールはスムーズに】

 ダウンロードはこちらのサイト(多分マイクロソフトアカウントでのログオンが必要)で行う。Japaneseの64bit版か32bit版を選択する。

ISOファイルがダウンロードできるのでそれをDVDに焼く(起動可能=ブート可能なインストール用DVDを作成するということ)。このようなISO焼きでは自分はDVD Decrypterを使っている。
念のため、Windows8上でDVDが読み込めることを確認。

ストレージをインストール対象のm.2 SSD以外を外し、DVDからのブート起動。インストールはかつてWindowsのインストールを何十回と行っている者としては実に簡単なものであった。

【無事にログオンしたように見えたのだが】

 Windows8でマイクロソフトアカウントにログオンすると壁紙などの環境が同期される。今回Windows10なわけだが、同期されて馴染みの壁紙が出てきてホッとした。そこで最初にしようとしたのが、複数台のデータ用HDDを読み込むことであった。このサブマシンは複数台のデータHDDを取っ替え引っ替えすることを使い方の一つにしているからだ。

 ところがここで不具合が発生する。いろいろしているうちに画面が暗くなり(所謂ブラックアウト)、受け付けなくなったのだ。電源ボタンを一回押すと直ちに電源が落ちる。どうやら異常終了したっぽい。

 最初はHDDの取り外しをしたことで発生したのかと思っていたが、何回か起動するするうちにそうではなくて起動後まもなく必ず発生することが分かった。すなわち以下の様なものである。

起動後、数十秒(?)でこのブラックアウト(異常終了)が発生する。
・ロック画面のままでもログインした後でもブラックアウト(異常終了)は同じく発生する。
・パソコンからの出力信号が落ちたようで、モニターの電源が省エネモードに移行する。
・ブラックアウトし場合には電源ボタンを押すとパソコンの電源が直ちに切れる。長押しの必要はない。
このことは画面が見えないだけでWindows10は動き続けている「のではなく」、OSとしても異常終了していると推定される。

【試行錯誤】

「OSをインストールするときには最小構成」というのは自作パソコンの鉄則だったように思うが、今回のWindows10 Technical PreviewインストールにあたってはHDDこそ全て外したものの、それ以外は考えておらず、PCI Expressボードを2枚刺したままだったのでこれを外したり、関係ないとは思いつつSATA接続のCD/DVD/BDドライブを外したりしたがブラックアウト現象は止まらなかった。

 異常終了ということでWindows10 Technical Preview自身のOSにも被害を及ぼしているようで、回復動作を何回か行ったが、そのうちに回復動作でも起動しなくなった。すなわちWindowsのロゴが出てきた後すぐにブラックアウトしてしまう。
 これについては回復のオプションでOS自身の初期化みたいな動作をし、すなわちOSの修復インストールみたいなのと設定のし直しをしたところ、最初のように取り敢えずロック画面、ログイン画面、壁紙までは起動するようになった。

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 今回のM.2 SSDは初使用ということもあって、それに不具合がある可能性も皆無ではなかったたため、前のWindows8環境に戻してこのSSDのエラーチェックをしたがエラーは見つからなかった。

【所詮プレビュー版は不完全?】

 ネットを調べた所、昨年11月の段階でマイクロソフト自身がこのブラックアウト現象を認めていることが分かった。

・鈴木淳也の「Windowsフロントライン」:2014年最後の「Windows 10 Technical Preview」アップデート(Build 9879)はどこが進化したか? (3/3) – ITmedia PC USER

Windows 10の開発早期β版「Windows 10 Technical Preview」が2度目のアップデートを行った。その改善点と問題点をまとめてチェックしていこう。
「ログインやロック解除時に画面がブラックアウトする(強制再起動が必要)」

 それから二ヶ月以上経っているので、このマイクロソフト自身が認めたのと同じ原因なのかは分からない。だがそのような可能性がある以上、あまり色々するのは無駄なのではないか。
 そんな中、興味深いブログ記事を見つける。

・Breezeの東 Win10をアンインストールしてWin7にダウングレード
http://jimmy5555.blog.fc2.com/blog-entry-290.html

 この中でWindows10TPのブラックアウトがグラフィック周りのドライバーなどが原因であるかのように推測する部分があった。

【一端は諦めたが、、、】

 2ヶ月前とはいえマイクロソフトが認めているらしい不具合ということで、足掻いても無駄だろうと思い、諦めようと思ったが上のブログ記事のグラフィック周りドライバーが原因という記述が気になる。

昨年7月にCPU/マザーボード周りを交換した際、少し迷いつつGPUはCPU内蔵のものを使い始めた。(一昔前はGPUはマザーボードに内蔵されていたものだが昨今はCPUに内蔵されているらしい。)だが以前のグラフィックカードもPCI Express x16規格なので使えるはずなのだ。

今回起こったWindows10 Technical Preview版のブラックアウトが本当にグラフィック周りに起因するものならばCPU内蔵GPUではなく、グラフィックボードを使えば回避できるのではないか。

マザボを交換した時に外したグラフィックボードは
・inno3D Geforce7600GST 256M (PCI-Express x16接続)
多分これ。
・ASCII.jp:なぜこんなに安い?Inno3Dから“GeForce 7600 GS”搭載のオーバークロックモデル2製品が発売に!
http://ascii.jp/elem/000/000/353/353476/

8年半前のシロモノである。

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【グラボ使用でブラックアウト再現せず】

 上記グラフィックカードを取り付けてそこから出力させたところ、目論んだように起動後のブラックアウト(異常終了)現象は回避された!大勝利である。
 基本的にこれでメデタシメデタシなのであったが、、、、

【グラボを替えなくても出力コネクタをD-Sub→DVIにするだけで】

 このブログを書かなかったら以上で終わっていた可能性が高いのだが、ブログ仕上げに当たり、もう一度ブラックアウト現象を確認するかと思い、CPU内臓のGPUを再度使おうとしてモニターへの出力が2個あることに気がつく。すなわち
・アナログD-Sub 15pin
・デジタルDVI-D
である。

 パソコンのモニターへの出力規格は10年以上前からアナログのD-subminiatureからデジタルのDVIへ移行しつつあるのだが、未だにD-subは根強い要望があるようで昨年のマザーボードにもついている状況だ。
私のモニターは9年近く前の製品だがD-subとDVIの両者が付いている。しかし長くアナログ出力用のパソコン切替器などを使っていたため、現在もアナログD-Sub 15pinを使っており、その状況でWindows10 Technical Previewのブラックアウトが発生した。

 パソコン内部の細かいことは分からないが、DVI側の端子を使えばグラボと同じようにブラックアウトが起こらなくなるのでは?

 最初、D-subケーブルのままで変換コネクタを使ってマザーボードのDVI端子に接続しようとしたが刺さらない。よく見ると端子のピン形状が微妙に違う。DVIにはアナログ/デジタル両者の信号を出すDVI-I形状とデジタルのみのDVI-D形状があるらしい。

・【解説】ディスプレイケーブルのコネクタについて – ELECOM WEB SITE!
http://www2.elecom.co.jp/cable/display/guide.html

そもそも自分のマザーボードにはアナログのD-Sub端子がついているのでデジタル端子はデジタルに特化しているのだろう。仕方なく押入れからDVIケーブルを見つけ出し、接続したところ、ブラックアウトせずに使用できた。

【結論とWindows10TP版】

 とどのつまり、Windows10 Technical Previewのブラックアウト現象は自分の場合、内蔵GPUのアナログD-Sub 15pin端子を使っていたから発生していたようである。同じく内蔵GPUでもデジタルDVI-D端子を使うか、もしくはPCI Express x16接続のグラフィックカードを使うことで解決できた。

 これからWindows10 Technical Previewを使っていくつもりだが、Technical Preview版はあくまで試験版であり、アップデートに依る変化も激しいと聞く。ユーザは不具合や試行錯誤を覚悟の上で導入したほうが良いというのを改めて感じた。

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