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当記事に続いて
2006/08/22記事「細田守監督『時をかける少女』私はこれを小中学生の時に見たかった 」
を書きました。御関心のある方はどうぞ。
一週間ほど前、親しい友人に連れられて、映画「時をかける少女」と「ゲド戦記」とを見に行った。
「ゲド戦記」は宮崎駿・高畑勲作品を数々作り出してきたスタジオジブリの作品。今回の監督は宮崎駿監督の息子・宮崎吾朗氏。
彼はこの作品が初監督の作品だが、ジブリはこの作品を大作と銘打って、キャンペーンを大々的に行っている。その結果、当然あちこちの映画館でやっている。
一方 「時をかける少女」は細田守という、特にいままではパッとしない映画を作ってきたように感じてしまう人(ごめん)の作品。上映映画館も少ない。
だがネット上で聞く前評判から、私たちの第一目的は「時をかける少女」を見ることにあった。
もし余力があれば「ゲド戦記も見よう」という感じだった。
上の写真は映画のパンフとサウンドトラック。パンフは700円だったかな。値段に相応で、あまり中身は充実してません。<というか製作スタッフの全一覧すらないんですけど。汗汗汗。>まあそれでも買う価値はある気がします。 その他の「時をかける少女」関連の品ですが、流石にまだDVD化はされていませんけどサントラ、関連書籍などがamazonから購入可能です。是非どうぞ。 |
ちなみに筒井康隆氏のジュブナイル小説「時をかける少女」は今まで何度も映像化されているが、今回のアニメのストーリーはその作品のオリジナル続編である。
だからその原作や他に映像化されたものを観ていても観ていなくても、今回の作品は問題なく楽しめるだろう。タイトルに騙されて「その話なら知ってるし」なんて言う事勿かれ。
[時には昔の話をしようか...(by 「紅の豚」)]
ちょっと話が逸れるが御容赦願いたい。
私は昔、宮崎駿マニアをやっていた時期がある。
このブログのタイトル通り、宮崎駿とその作品に「ハマっていた」時期があった。そう、その期間は4~5年くらいだろう。
私の場合、単に宮崎駿作品を追うよりも、宮崎駿の人となりを追うのがとても楽しかった。天才....ではありがちなのだろう、あのおじさんはかなり偏窟な人で、インタビュー記事とかが毒舌しまくりで、かなり面白かったのである。
「人生の濃い人間は見ていて楽しい」、まさしくそんな感じであった。
後から知ったのだが、世の中にはそういう「宮崎駿マニア」が腐るほどいたようで、私のその中の一人だったらしい(オタク学入門、にその手のことが書いてあったように思う)が、それはともかく、私がマニアをしていた時期は宮崎駿氏自身が監督した「紅の豚」の公開から、宮崎さんが故近藤喜文氏に作らせた「耳をすませば」の時期くらいまでだったと思う。
その期間は本当にハマっていた。
その後の「もののけ姫」の時は結局何回か映画館で見たと思う。すでに足を洗ってはいたけど、結局友人などにつきあって結局何回も見に行ったような気がする。
だがその後は、前に書いた
「千と千尋の神隠し」「ハウルの動く城」「猫の恩返し」も一通り映画館で見たのだが、それらは家族が鬱に悩む私を元気づけようとして連れて行ってくれた、ただそれだけだった。
[え?宮崎ジュニアがアニメ監督?]
そんな中、今からつい一ヶ月前に、親友から宮崎駿の息子(宮崎吾朗氏)がジブリの最新作「ゲド戦記」を作っているという話、それも甚だ評判が悪いという話を聞いて驚く。
驚いたのは評判が悪いことではなくて、宮崎駿の息子がアニメーションに携わるようになっていた、ということだ。以下の記事
にあるように、もとはアニメとは関係のない、堅気の職についている人だった。
自分の息子が親の七光りでアニメを作るようになる、宮崎駿という人間は、そのようなことを許すような人じゃない、というイメージがあったのだ。
今になって調べると、宮崎吾朗氏はジブリの館長についていたという。なるほど、私がハマった頃はジブリ博物館すら無かったので知るよしもない。
その博物館館長への就任の際に、宮崎駿氏のコメントは
「鈴木さんが説得をして、本人がやるというなら仕方ない」
だったらしい。
・世界一早い「ゲド戦記」インタビュー 鈴木敏夫プロデューサーに聞く
なるほど、そういう感じなら分かる気がする。
で、今回のゲド戦記監督就任についても、親の宮崎駿氏は反対していたそうなのだが、結局上のような形で静観せざるを得なかったのだろう。
まあアニメに携わる者として、息子が同じ道を歩もうとするのを見るのはやはり嬉しかった、という親心もあったのだろう。
アニメーションについては自他共に厳しかった天才、漫画の神様・手塚治虫氏のアニメについてもけちょんけちょんに貶したアニメーションの大御所・宮崎駿氏もも、人の親としては変わらなかった、と言うことか。
[話を戻して]
長くなりそうなのでここらへんで閑話休題。
そんなこんなで
・ジブリ、宮崎吾朗(宮崎駿氏の息子)監督の「ゲド戦記」
と、一方でそんなに期待されていなかったのに大好評の
・細田守監督の「時をかける少女」
とを友人とハシゴした。(誘われなかったら行っていなかったかもしれない、このあたり、私の宮崎マニア、ジブリマニアが戻りそうな気配はない。)
結論から言うと....
「ゲド戦記」は評判通りダメダメ。
「時をかける少女」は評判通り、かなり面白いし、いろいろな意味で質が高い。
[因縁の両対決?]
ちなみにこの両者、何の関係もないように見えるが、どうしてどうして。
実は細田守氏は前回のジブリ作品「ハウルの動く城」で若手監督として就任し、その線で動いていたのに、諸事情から監督を降り(降ろされ?)、結局大御所の宮崎駿氏が引き継がざるを得なかった経緯があるらしい。
この経緯については
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B4%B0%E7%94%B0%E5%AE%88
http://www.eigaseikatu.com/imp/4544/107586/
に書いてある。
なお当初紹介していたWikipedia「ハウルの動く城」の内容は「細田守」の項目に移ったようだ。
今後もWikipediaの記述が変わるかもしれないので、念のため、現在の内容を引用しておく。
細田によれば、当初「千と千尋の神隠し」の制作に追われていたジブリから人員の応援は得られず、監督の細田本人が各スタジオを廻り制作スタッフを集めた。だが制作中止となり、自分を信じ集まってくれたスタッフの人望を失い、人員確保の間のスタッフへの給与の未払い、集まったスタッフのその後の仕事が決まっていないなどの問題が発生し、細田守にとってこれでアニメ業界で生きていくのは終わったと思わせた一大事件であった。だが、細田の才能を知る宮崎駿と、細田守の関係は悪くはないそうである。
追記:この件についてはWEBアニメスタイルというところに細田氏のインタビュー(というか対談)記事があることに気がついた。
http://www.style.fm/as/13_special/mini_050816.shtml
追記以上。
このWikipediaの情報の方を正しいとすれば、細田守氏はジブリのせいで危うくアニメーション監督としての生命を絶たれるところであったことになる。
そんな仕打ちをした、アニメーションの超有名スタジオ・ジブリの今回の作品が「ゲド戦記」。
仕打ちをされてアニメ制作生命を殺されかけた細田守氏の今回の作品が「時をかける少女」。
なんという因縁であろう。
[ジブリが出来ること、出来たこと]
そして今回の作品の優劣は、観れば明らかだ。
「時をかける少女」の方が遥かに上。
一方で「ゲド戦記」は宮崎駿の後継者がジブリにはいないことを如実に示す哀れな出来。
アニメーション界では素晴らしい作品を作る実力だけが評価される。そういうものだ。親から受け継いだ「血」だけでは決して実現できないモノ。
厳しい世界であるが、それが映画というものだ。
ちなみに、私はジブリスタジオの存在意義を否定するつもりは決してない。
そもそも細田守監督の今回の「時をかける少女」の美術監督は、ジブリに「天空の城のラピュタ」の頃から参加していて十分キャリアのある山本二三氏。
また、作画監督をした青山浩之氏も「耳をすませば」とか「猫の恩返し」でジブリで飯を喰っていたことがあったはずなのだ。
そんなわけで「時をかける少女」も決してジブリとは無縁のところで作られた作品ではない。ジブリが蒔いた種は、確実に育っていると思う。
でも宮崎駿監督、高畑勲監督の後釜は、ジブリでは恐らく作れないだろう。
それがジブリスタジオの役割、運命だ。
ともあれ、もしあなたがラピュタの雲を見たいなら「ゲド戦記」ではなく、細田守監督「時をかける少女」に是非行こう。
ジブリがかつて持っていた、素晴らしい映画を作る活力がそこにはある。
[評価の理由]
作品を評価する際、その理由を挙げないのは不当だと思われるかもしれない。でも今回の私の記事はまだそれらの映画に行っていない人向けなので、ネタバレを避ける意図もある。
だからこれとは別に、私が上のような評価をした理由を示した記事を書こうかなと思ったのだが、一緒に見に行った友人が理由を明記したブログ記事を書いてくれていたのでその紹介にとどめたいと思う。
「なんとかなればよいブログ」の
「映画感想 時をかける少女 」
「映画感想 ゲド戦記」
ちなみに上の内容はほとんどネタバレにならないように配慮されているので、映画に行く前に読んで頂いてもきっと大丈夫だろう。
本文以上。当記事に続いて
2006/08/22記事「細田守監督『時をかける少女』私はこれを小中学生の時に見たかった 」
を書きました。御関心のある方はどうぞ。
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[関連リンク]
・「時をかける少女」オフィシャルサイト
http://www.kadokawa.co.jp/tokikake/
・上映映画館
http://www.kadokawa-herald.co.jp/official/tokikake2006/jouei.shtml
(おまけ:「ゲド戦記」に関しても関連製品が出ていますのでamazonで購入可能ですが...駄作関連の製品を買って頂くのはあまりお勧めできませんし。まあでも評判の高い原作関連の書籍もあるようなのでそれに関してはamazonで是非どうぞ。私も原作はいつか読んでみるつもりです。)
最終更新日 2006年8月19日 19時24分
コメント
こんにちわ
偶々検索に引っかかったので、読ませて頂きました。
うーん、昔のアニメが好きだった頃、宮崎駿の名前はある意味巨大でした。そして、ジブリが出来て制作していくアニメ。必ず売れる作品を作らないと行けない使命みたいなのがジブリには有る様に思えます。初期の頃はそれ程でもなかったんでしょうが、なんだか軸がずれている感じがしますね。
最近は宮崎作品はあまり見てないですが、ハウルも難しい感じでした。ナウシカを考えると彼は作品に重いテーマの含みを入れるのが常ですが、最近は妙に暗いです。
元気づけられる事がない最近の作品は見る気がしません。冒険活劇を作って欲しいよ!
宮崎駿自体と言うより、なんだかジブリ自体の問題が大きい様に思えます。政治的な。
「ゲド戦記」は原作者も許可するんではなかったって嘆いてるし、まぁ良いモンではないんでしょう。
ジブリもそろそろ終わりですね(苦笑。
〃親子でぇと- ~の巻~〃
ρonは割と、オタクスピリットな人間でして
アニメやなんかも大好物Ψ-_-Ψ
高崎 真哉さんのブログ『ハマる生活』の記事
「ゲド戦記」はやめて、細田守監督「時をかける少女」を見に行こう
の中で…
映画「時をかける少女」
「時をかける少女」観てきました!文句なしの星★★★★★5つ映画でした。DVD出たら買っちゃおうかな。
最初から最後までドキドキしっぱなし、飽きるヒマありません。
主人公マコトが、カラオケボックスや河原の告白などで時間を何度も戻るところは笑えました(^_^)
ストーリー構成もテクニックもすごい。時間を行き来する話って作るほうがパニくりそうだけどどうやって作っているんだろう?テクニックは、一度同じようなシチュエーションを出しておいて、「あっ、今度はどうなる?!」って観る人に思わせるところ…
言うほどたいした物ではなかった
っていうか見る前から工作員活動しすぎだろって思っていた ヤフーの映画サイトは設定を変えるほど
荒れていたし
ときかけの何が駄作かと言うと 物語が全然まとまってないし監督は構想を練ってない 言いたい事は山ほどあるがひとつ言うなら いじめられた少年と友達の女の子に全く救いが無い 女の子は最期まことがタイムリープしたせいでちあき君と良い感じになってたのに全部何も無かった事になってる そこらへんから主人公に全く共感できない
ジブリの最近の作品は観て 感じる事が出来て好きだ ジブリのプロデューサーの鈴木敏夫の言葉で宮崎駿もそう思ってるか不明だが、「全部分かってしまう映画はつまらないんだ、観ながら考える事によって初めて面白くなる映画 映画はその2つしかない」 最近の宮崎駿の作品は後者だと思う 前者が好きな人は過去の作品を見てれば良いのであって 安易な批判は止めて欲しい ゲド戦記もそこまで悪くなかった っていうか時かけより良かった。
ゲド戦記はよかった。何か非常に清清しくて。