インターネットではその開始当初から「フレーム」(flame、炎)という現象が問題になってきました。
フレームとは、ぶっちゃけて言えばインターネットの「喧嘩」です。Wikipediaでは以下のように書いてあります。
掲示板では、対面しての論争とは違い、相手の話を遮ることができない。そのため一方的な内容になりやすい。また懸命に書いたところで、言葉の意味合いを上手く伝えられるほど文章を上手に書ける人はそう居るわけではなく、細かい揚げ足取りに終始して互いが感情的になり、結局は収拾がつかなくなることが多い。原因のほとんどは、要望・苦情のような議論を直接関係のない第三者に提起して無理に同意を求めようとすることと、地域性・立場・趣味などの価値観の違いを考慮しない文章を書くこと、にある。当初はメーリングリスト(ML)、USENETニュースグループ、Web掲示板、そしてSNSのコミュニティ....場所は変わってきましたが、人のやることはかわりゃしません(^^;)
ここではフレームを避けるための心がけを私なりに書いておきます。
なお昨今ではブログのコメント欄で発生する現象が「ブログ炎上」と呼ばれますが、これもflameの一種ではありましょう。ただブログの場合、記事作成者とコメント投稿者で立場が若干違うのに対し、私が述べるフレームというのは掲示板やmixiコミュニティなどで、投稿者同士が対等な場合を想定しています。そのつもりでお読み下さい。
(1)投稿は急がない、急がせない
熱くなりそうな議論・意見交換に入ったら、必ず投稿の前に自分の書いた文章をよく再読する。理想的には書いたものを1~2晩おいて再度推敲する。
flameの発生原因は得てして感情的なやりとりになることです。感情的な文章は相手の感情を刺激し、より感情的な文章を生み出します。
そのような感情的な投稿にならないよう、投稿前に2度は読み直しましょう。しかし感情的になっている状態のままでは文章を読み直しても結局問題性に気がつかない、気がつけない場合もあります。
そのためには1日すなわち一晩投稿をしないで置いておき、翌日に再読して、それでも問題ないと感じたら投稿する。それがお勧めです。時間が許すなら2晩でも3晩でも置く方が良いかもしれません。
投稿しないでしばらく置いておくことは自分を冷静にするだけではなく、議論の相手も冷静にさせる効果を持ちます。
もし万が一、相手が議論を急がせて来た場合にはどうしたら良いのでしょう?
まずその議論・意見交換は本当に急ぐことを必要とするものですか?急がないと誰かが怪我をしたり、病気になったり、生死にかかわったりするでしょうか?莫大なお金の損失が出るでしょうか?
もしそうでなければあなたは断固として意見交換を急ぐべきではありません。もし相手が急がせて来た場合、正直なところ私はそういう相手は議論・意見交換をするに足る人物だと思えません。そういう方との議論、意見交換は避けることを強くお勧めします。
もしそれが出来ない状況で、返事をする必要があるのなら最低限のやりとりに止めてなるべく早々に議論を切り上げましょう。
え?あなたの方が相手の返事を急がせたい気持ちが沸いている?勿論そうであっても相手を急かせるべきではありません。
もしあなたがそういう気持ち、すなわち
「この前自分が書いた内容に対して相手の意見をすぐに知りたいのに、なんでレスしてこないんだ!」
と思ったら、前回あなたが書いた投稿もしくは今までのやりとりの内容を読んで気を紛らわせましょう。
相手が投稿してこないのは、もしかすると相手がヘソを曲げて、あるいは呆れて投稿する気を無くすような文章を書いたからではありませんか?
あなたはもう一度自分の前の投稿を繰り返し読んでも「こう書けば良かったかな」と思うところはありませんか?そういうところが多い文章を書いてしまっと思い始めたら、あなたはこの項目「投稿は急がない」「投稿しようとする文章は投稿前に良く読む」「可能なら一晩置いて再読する」が不十分だったということになります。よくよく反省してください。
そうでなければ、すなわち今までの自分の文章と相手の文章を何回読んでも
「うん、前回の投稿内容は十分なものだった。十分に説得力のあるものだった(と思う)」
と感じることが出来たならば、相手がレスをしてこないのはあなたの投稿に説得されて議論や意見交換を続ける気がなくなったのかもしれません。
自分の負けを素直に吐露できる人はそんなにいません。すなわち「参った」と書いてくる人はそういませんから、あなたとしては返信がないことで満足すべきでしょう。
(2)相手のプロフィールは極力見るな!相手の足下は見ない、人格を否定する方向にはしないこと。
一般的に議論、意見交換はその場でやりとりされた内容を元にすべきもので、相手への反駁の材料として他の場所で得た相手に関する情報を使うべきではありません。
mixiで言えば相手のプロフィールや日記で知った内容をコミュニティの議論で持ち込むべきではありません。議論・意見交換というのは相手の人格を否定するため、相手の人間性を非難するために行うべきものではないからです。
相手のプロフィールや日記を目を皿のようにして、相手の欠点を見つけようとしたりするということは、あなたの意見が論理的に説得力がないために、そういうものに「逃げることで」なんとか相手を引き下がらせようとする、姑息で卑怯な方法を目指そうとしているからです。それだけあなたの意見の中身が薄っぺらいことを示しています。
ただし相手のプロフィールを見るべきこともあります。たとえばある事柄に関して相手にどの程度の知識があるのか、それによって自分の意見の中で丁寧に説明すべきか否か、そういう判断が必要な場合です。
具体的に言いましょう。mixiではコミュニティを紹介する「mixi[dir]プロジェクト」というのが私的なプロジェクトとして広がっています。そのプロジェクトの中心になっているのが
[mixi] mixiディア [dir]
「相手のプロフィールや情報を知るのは足下を見るためではなく、相手が理解しやすい文章を作るため。」
それを常に心がけましょう。
さて相手のプロフィールを見ないようにという推奨は、議論の中に余計な先入観すなわち相手の人格への見解などを入れないためでもあります。議論・意見交換する際に相手の人格への批判などを入れてしまうことはほとんどの場合においいて全く無意味です。なぜならそういうことをしてしまうと、いろいろ真っ当そうなことを書いていても結局のところ
「あなたの今書いている内容・主張はここではどうでも良いのである。私はいろいろ見た結果、あなたの人格・行為に否定的になったのであり、そういう人物が書いていることはそもそも納得できないのだ」
と主張するのと同じことになってしまうからです。それはもはや議論や意見交換をする姿勢ではありません。単にあなたは相手の悪口を言いたいだけ、喧嘩をしたいだけになってしまいます。
まあどうしても喧嘩をしたければ殴り合い(一方的な悪口の言い合い)もよろしいでしょう。ただしそれを喜んで取り巻くのは煽り立てる野次馬くらいなもので、賢明な人はその時点で立ち去るのが「常識」です。もはや見てくれている観客は好奇心だけの暇な下衆だけです。
対面での喧嘩であれば警備員や警察が来て引き離してくれるかもしれませんが、それは管理人がばっさりそのようなフレームをばっさり削除して、関係者を追い出すのと等しいと言えましょう。
なおインターネット当初に普及していたメーリングリスト(ML)では「電子メール」という手段を使うわけですので、すでに投稿されたものを撤回すると言うことは出来ませんでした。一度配信されたflameの電子メールは取り戻せないのです。
そういう点では現在のネットワークコミュニケーションは後で削除出来るものが多いわけですが、その一方でメーリングリスト(ML)ではその時に参加者だった人々の手元にしか原則残らないのと異なって、削除されないで残ったフレームは後々まで新規参加者の目に触れることとなります。
どちらの方が良いのかは分かりませんがいずれにせよフレーム(flame)というものは不毛な部分が多いことには代わりがありません。
(3)「絶対に」馴れ馴れしい言葉を避ける
所謂「タメ口」。
タメ口 – Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%83%A1%E5%8F%A3
たとえあなたが150歳の老人であろうが、大統領であろうがネット上の議論・意見交換で「タメ口」を使ってはいけません。
タメ口を使って良いのはあなたの人間性を十二分に信頼してくれた人に対してだけです。どのくらいの人へかというと、たとえ自分がその人などへ1~2度の裏切りをしてもそれでも信頼して関係を維持してくれる人のみ、タメ口を使って良いでしょう。
もしかするとあなたは「親しみやすさ」を出すために使おうとするかもしれませんが、議論・意見交換では以上に侮辱的に受け取られることが多いのです。
あなたが意図的にフレームを起こそうとしているのでない限り、馴れ馴れしい言葉は避けるべきです。
[終わりに]
私は基本的に感情的な人間です。ですからフレームもしくはそれに近い応酬を幾度となくやってきてしまったように思います。
最初のフレームは忘れもしません。1995年夏に「スタジオジブリメーリングリスト」上で起こしてしまったもので、当時ロードショーだった「耳をすませば」に関係する議論だったと思います。ぶっちゃけて言えば私は宮崎駿の作風が好きなのに対し、高畑勲の作風が好きな方との意見相違に基づくものでした。喧嘩別れしてしまいましたが今では懐かしい思い出です。
15年近くも経てば綺麗な思い出になりますが、しかし一般にはフレームは後味の良いものではありません。出来るだけ起こすべきものではないでしょう。